『ザ・ゴール』の著者、エリヤフ・ゴールドラット博士に聞く – 日経ビジネス オンライン

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「日本は生産方式の次に、行政改革のモデルになるだろう」

2007年12月17日(月)

 TOC(制約条件の理論)の創始者であり、ビジネス書『ザ・ゴール』(ダイヤモンド社)の著者としても知られるエリヤフ・ゴールドラット博士が来日し、日経情報ストラテジーのインタビューに答えた。

 およそ1年ぶりである今回の来日目的は主に3つあったようだ。(1)トヨタ自動車グループの関東自動車を訪問してトヨタ生産方式を確立した元トヨタ自動車の故・大野耐一氏の思想がどう日本企業で息づいているのかを確認すること(2)TOC流プロジェクト管理手法のCCPM(クリティカル・チェーン・プロジェクト・マネジメント)がどう日本の土木業界で活用されているのか知るために宮崎県や国土交通省などを訪問すること、(3)TOC流の業績拡大手法である「バイアブル・ビジョン」について日本で啓蒙を図ること――だ。

 (2)については、宮崎県庁の取り組みがTOC国際シンポジウムで発表されたことがきっかけとなり今回の訪問につながった。CCPMはプロジェクト期間の過剰な余裕度を取り除くことで工期短縮を図る管理手法だが、宮崎県庁では7月30日完成の予定だったダム建設工事を1カ月短縮することに成功した。これが結果的に2006年7月に宮崎県を襲った台風4号に間に合い、土石流が町に流れることを食い止めた。2006年に官製談合事件で猛批判を浴びた同県庁土木部が、真剣にマネジメント改革に取り組んでいることを東国原英夫知事らから聞いて感激したという。

 (3)のバイアブル・ビジョンとは、従来のTOCがTOC流生産管理手法のDBR(ドラム・バッファー・ロープ)のように特定部門だけの全体最適を図ったのに対して、TOC手法を駆使することで企業全体のビジネスモデルそのものを変革しようとする取り組みである。これが実現すると、営業利益を数倍に伸ばすことも可能だという。まだ普及途上の手法だが、今後の普及策についても聞いた。

――関東自動車を訪問したそうだが、トヨタ生産方式を確立した故・大野耐一氏の思想のどんな点に注目しているのか。

図版

エリヤフ・ゴールドラット博士

ゴールドラット 私は、故・大野耐一氏(トヨタ自動車でトヨタ生産方式を確立した人物)はもっと尊敬されるべき人物だと考えている。だが、彼が残した偉大な思想は日本企業でさえ十分に生かされていないように思う。というのは、トヨタ生産方式を取り入れようとする企業の中には、うわべの手法だけを取り入れてしまっているケースが見受けられるからだ。
 例えば、JIT(ジャスト・イン・タイム)を導入することがトヨタ生産方式の実践であると直ちに考えるのは間違いの元だ。大野氏は、自分の思想をトヨタ自動車で展開するうえでは、JITが最も適切であると考えたのであって、他の業態の企業にとってもベストな手法とは限らない。
 実例として、日立ツールは当初JITに取り組んだがうまく機能しなかった。そこで、ライン全体のバランスを考えたDBRの手法を取り入れたことで利益率が大きく改善した。だがDBRの手法の根本にある思想はまさに大野耐一氏の思想と同じなのである。彼が残した全体最適の考え方を多くの企業は改めて継承すべきだ。

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