SCMプロを証明する“免許証”「CPIM」とは (1/5) – @IT MONOist

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第3回「「SCORモデル」を使ってサプライチェーンを考える

 グローバルサプライチェーンを運営していく上で“世界共通言語”とも見られている「APICS」を専門家が解説していく本連載前回はSCMに関するグローバルスタンダードのプロセス参照モデル「SCORモデル」について紹介したが、4回目となる今回は、APICSのカギともいえる資格制度「CPIM(Certified in Production and Inventory Management)」について解説する。

企業活動のグローバル化と職種プロフェッショナルの必要性

 企業活動は、近年のグローバル化の枠組み拡大の影響を最も大きく受けている分野だが、その根幹となる人材については十分に意識されているとは言い難い。特に日本ではいまだに「ローカルルール」が根強く残っているのが課題だ。伝統的な終身雇用体制と並んでそれを特徴付けるのが、「就職」よりも「就社」の意識である。職種プロフェッショナルよりも会社プロフェッショナルというキャリアであり、多くの企業勤務者がこの意識にとらわれている状況だ。

 しかし、企業活動のグローバル化が加速する中、好むと好まざるとにかかわらず、特定の組織、特定の国や地域を超えて活動することを求められる機会は増える。そのような環境において必要とされるのは、所属する組織の枠組みの中でのみ通用する「ローカルスキル」ではない。専門分野・領域でキャリアを積み、そのスキルや知識、経験をもって、現在雇用されている組織内のみならず、組織外においても通用する、いわば「職種プロフェッショナル」なワーキングパーソンである。

職種プロフェッショナルの証明手段

 筆者が「職種プロフェッショナル」を意識したのは、新卒で入社した日系の国際物流会社から、外資系のファッションブランド企業に転職する際に“ロジスティクス”と、職種が特定されていたことがきっかけだった。さらに、その後外資系の医療機器メーカーに転職したことで、両社のSCM(サプライチェーンマネジメント)の共通点・相違点を知ったことも大きかった。特定の組織のなかで身に付けてきた知識・経験に限らず、SCMプロフェッショナルとして、包括的かつ標準的な仕組みを理解すること、そうして理解していることを、客観的に、かつグローバルに証明するもの(資格)が必要だと考えるようになったのだ。そのようなときに出会ったのが、大学院のSCM講座で紹介されたAPICSとCPIMだった。

 APICSの知識体系が、包括的かつ、グローバル標準であることは、全世界100を超える国から1万5000社、3万7000人以上の会員数を持つことからも理解できる。さらに、その会員企業には、コカ・コーラやIBM、ボーイングなどの米系大企業はもとより、BASFやサムスン電子といった米国以外に本社を置く有名企業も多くが名を連ね、企業活動に活用していることで裏付けられる。

グローバル標準のAPICS資格制度

 APICSが客観的に評価されていることを示すものとして、業界でグローバル標準と認知された資格制度がある。資格制度には「CPIM(Certified in Production and Inventory Management)」と「CSCP(Certified Supply Chain Professional)」の2つがある。どちらもグローバルで標準化された試験内容、採点・認定基準を備えた国際資格であるため、どこの企業の誰が、どこの国で試験を受けても、全く同じ“ものさし”で客観的に、SCMに関するグローバルスタンダードの知識の習得有無を測定できる※)

※)関連記事:商習慣の違いを乗り越え、サプライチェーンを最適化する“ものさし”

 これらが業界で高く評価されていることは資格保有者などを見ても明らかだ。CPIMは1973年の開始以来全世界で10万人、2005年から追加されたCSCPも既に1万5000人もの有資格者を持つ。さらに英国の研究機関SCM Worldの2014年の発表によれば、サプライチェーン・プロフェッショナルの認定と教育を行う団体トップ10のうち、圧倒的1位にランキングされたのがAPICSのこれら2資格であった。

 筆者も、米国本社勤務中にAPICS資格の認知度が高いことを実感した経験がある。企業内の状況だけを見れば、同じ社内でも言語はもちろん商習慣や使用ERPも異なり、共通の“ものさし”がない状況だった。しかし、マネジメント層はほぼ全員が資格取得者という状況であり、筆者がAPICSを知っていること、CPIMの一部科目に合格していたことは、非常に役に立った。知識レベルを客観的に証明するのみならず、業務上の共通言語・用語として、一言で内容を的確に伝えることができるのだ。このように、言語や組織特有の用語・仕組みを超えて通用する資格であることを実感したことが、CPIMの残りの科目の取得への、大いなる動機付けになった。





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