富士通、テクノロジーソリューション事業を中核とする経営改革を発表 – クラウド Watch

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 富士通株式会社は27日、2016年度第上半期決算と経営方針を発表。以前から報道されていたPC事業について、レノボと戦略的な提携を行うことを検討すると発表した。

 代表取締役社長の田中達也氏は、「昨年の社長就任から1年経ち、目指すビジネスモデルをテクノロジーソリューションへの経営資源集中する」と説明。昨年行った経営方針では、テクノロジーソリューションに加え、ユビキタスソリューション、デバイスソリューションの3つをコア事業としていたが、これをテクノロジーソリューション1つとする。ユビキタス、デバイスについては、「それぞれの強みが生きる形を追求するため、あらゆる選択肢を今後も継続検討する」として、現段階では具体策は発表しなかった。

代表取締役社長の田中達也氏

 昨年の方針説明から営業利益率10%以上、フリーキャッシュフロー1500億円以上、自己資本比率40%以上、海外売上比率50%以上という目標は変更せず、「当社が体質変換し、グローバルで戦える水準となるのがこの連結業績目標」と目標を保持していく。

連結業績目標

 上半期決算は、売上収益は前年同期比7%減となる2兆850億円、営業利益は同383億円増の同258億円、四半期利益は同278億円。「円高の影響が大きく、国内売上は利益が出ているもののカバーしきれず減収となった」(取締役 執行役専務 CFOの塚野英博氏)。連結業績見通しも修正し、売上高を7月時点の予想から1000億円減となる4兆5000億円とする。

テクノロジーソリューションへの集中を強調、PCはレノボと提携検討

 今回の経営方針説明で田中社長が、「集中する」と明言したテクノロジーソリューションとは、SIなどのサービス事業、キャリア向けビジネスを含むシステムプラットフォーム事業を指す。2016年度上半期売上でいえば、7割弱を占める事業分野となる。

 2015年度時点では、テクノロジーソリューション、ユビキタスソリューション、デバイスソリューションという3つの事業に注力するとしていたが、2016年度以降はテクノロジーソリューションに集中。ユビキタス、デバイスについては現時点では具体像は示していないものの、「強い独立ビジネスに向けて、あらゆる選択肢を今後も継続検討。独立事業とは、エグジット以外にも色々なことが考えられる」と説明しており、さまざまなケースを検討していく。

目指すビジネスモデル

構造改革の進展

 すでに、ユビキタスではPCを富士通クライアントコンピューティングに、携帯電話を富士通コネクテッドテクノロジーズに分社化しており、富士通テンはデンソー、トヨタ自動車と資本構成変更をすることを基本合意している。

ユビキタスの独立ビジネス化

 PC事業に関しては、富士通、富士通クライアントコンピューティング、およびレノボの3社で、「グローバル市場に向けたPCの研究・開発・設計・製造に関する戦略的な提携について検討中」と表明。富士通ブランドのPC製品とアフターサービスは引き続き提供するとしているものの、具体的な提携内容については「現時点では明らかにできるものはない」(田中社長)と表明するにとどまった。提携のスキームについては、協議を行って決定するという。

 また、「クラウド分野でシナジーが見込める」(田中社長)と完全子会社化したニフティだが、ISP事業については「いろいろな選択肢を考えている。一番良い形を検討する」と、主力事業からは外れているとの見通しであることを明らかにした。

 PC、ニフティのISP事業とコンシューマ事業を主力事業から外すことになるが、「当社の強みはB2Bの民間および政府へのビジネス。この得意分野でのしっかりと、確実なプロフィットを獲得する。コンシューマ向け事業は、IoT時代を迎え、直接よりもパートナー経由で事業連携していく方が得策と判断した」(田中社長)と説明している。

「つながるサービス」

 経営計画の、「質を変える」として取り組むのが、「つながるサービス」としてAI、クラウド、ビッグデータ、IoT、そしてセキュリティ。デジタルサービスを強化するために社内に分散していたデジタルサービスに必須な事業を統合する組織を新設し、リソース集中を図る。

進めている「つながるサービス」

 つながるサービスの核となるデータ集積の最重要機能として、IoT基盤を強化し、共通のIoTプラットフォームでものづくり、ロジスティクス、モビリティなどで共創のIoTプラットフォームを活用していく。300件を超える実証プロジェクト、外部アライアンスなどを通してビッグデータの確保、知見蓄積を行ってグローバル共通展開、エコシステム領域の拡大をはかる。

IoT基盤の強化

 AIサービスは、2015年11月に発表した「Human Centric Zinrai」、MetaArc上で提供しているAIプラットフォーム、AI専門人材を2018年度に1500人など環境を整え、ユーザーの現場への適用を進めていく。

AIサービスの本格展開

 クラウド基盤は、K5を日本、欧州を皮切りにグローバル展開するとともに、マイクロソフトやBoxなどグローバルパートナーとのアライアンスによってMetaArcをさらに強化していく。

クラウド基盤の強化

 デジタル革新を支える基盤テクノロジーとして富士通として集中するのは、プロセッサ開発技術、AI基盤技術オープンソース応用技術の3分野。「投資はこの3分野に集中する」(田中社長)方針だ。

デジタル革新を支える基盤テクノロジー

 セキュリティについても、全社のセキュリティに関する司令塔となる部門を新設し、グローバルに統合されたサービスを展開していく。

 コストダウンとしては昨年度に掲げたオフショアの徹底活用により2016年度までの累計で100億円、社内全システムのK5移行で10億円、全社横断のコスト削減プロジェクトで250億円のコストダウンが実現している。

 一方、ビジネスモデル変革にともなう費用の内訳としては、昨年時点で415億円としていたが、2016年度時点ではデジタルトランスフォーメーションに概算300億円かかるとしており、さらに150億円の費用が必要となる見込み。

 こうした変革を進めていく中で営業利益率の目標として掲げる10%に対しては、2016年度時点では2.8%に止まっているが、「一連の取り組みによって着実に前進しており、2017年度には5%を達成し、社内の質を変えていくことで10%達成を進めていく」(田中社長)と実現に向けて、強いこだわりを見せる。

ビジネスモデル変革の費用の内訳

上半期決算は円高影響大きく減収増益

 2016年度第2四半期(2016年7月~9月)の売上収益は前年同期比6%減の1兆985億円、営業利益は同149.4%増の222億円、税引き前四半期利益は同187.2%増の255億円、四半期利益は同779.4%増の259億円。

 「売上は前年に比べ減収となっているが、為替影響を除けばほぼ前期並みで、特に国内は1.8%の増収となっている。営業利益も増益で、LSIの減収、円高の影響はあったものの、1Qに続いてPC、携帯電話事業がコストダウン、費用効率化などで改善し、国内のネットワークプロダクトについても増収効果があった」(塚野氏)。

取締役 執行役専務 CFOの塚野英博氏

 上半期の事業セグメント別では、テクノロジーソリューションが売上収益は前年同期比6.5%減の1兆4191億円、営業利益が同65%増の533億円。売上収益の国内海外内訳は国内が同2.5%増の9419億円、海外が同20.4%減の4771億円。

 このうち、サービス事業は売上収益が前年同期比6.6%減の1兆2062億円、内訳としてはソリューション/SIが同0.3%増の4654億円、インフラサービスが同10.4%減の7407億円。営業利益は同6.9%増の474億円。

 「SIは過去最高だった前年を上回る収益を実現した、これは2020年に向け、企業のICT投資が堅調であることか要因といえる。インフラサービスについては、国内は増収だったものの海外が欧州中心に低調となった」(塚野氏)。

 テクノロジーソリューション事業に含まれるシステムプラットフォーム事業は、売上収益は前年同期比6.3%減の2129億円で、内訳としてはシステムプロダクトが同5.3%減の1083億円、ネットワークプロダクトが同7.3%減の1045億円。営業利益は58億円となった。

 「ネットワークプロダクトは、国内は携帯基地局事業が伸び増収となったが、北米で光伝送装置中心に減収となったことから前年比で減収となった。今後はソフトビジネスへのシフトを進めて黒字転換を目指す。営業利益は前年のマイナス120億円から大幅に改善しているが、これは携帯基地局の伸長などが要因となっている」(塚野氏)。

 ユビキタスソリューション事業は、売上収益は前年同期比4.2%減の4836億円で、内訳としてはPC/携帯電話事業が同8.2%減の2893億円、モバイルウェアが同2.3%増の1943億円。営業利益は前年のマイナスから改善し、187億円となった。

 「PCは法人向けが堅調に推移したことで増収となった。携帯電話はフィーチャーフォンを中心に減収となった。モバイルウェアはオーディオ・ナビゲーション機器が前年から伸長した。営業利益はPC、携帯電話、モバイルウェア全てが黒字となったことで、前年から大幅に改善した。円高でドル高部材のコストダウン効果に加え、コストダウン、開発費用効率化がプラスに働いた」(塚野氏)。

 デバイスソリューション事業は、売上収益は13.7%減の2694億円で、内訳としてはLSIが20.3%減の1325億円、電子部品が6.3%減の1374億円。営業利益は98.7%減の2億円。
 「営業利益は黒字確保できたものの前年比大幅なダウンとなった。LSI、電子部品ともに減収したことに加え、円高の影響を大きく受けて減収減益となっている」(塚野氏)。

通期見通しを変更

 通期見通しについては、前提となる為替レートを7月時点から変更。ドルは110円から105円に、ユーロは125円から115円に、英ポンドは160円から140円とした。ユーロ/米ドルは変更しない。

 各事業セグメント別の通期見通しも修正している。テクノロジーソリューションは、売上収益を700億円引き下げ3兆1400億円。売上収益の内訳としては、サービスが600億円引き下げた2兆6300億円で、ソリューション/SIは従来通り1兆円だが、インフラサービスを600億円引き下げ1兆6300億円とする。営業利益については変更しない。

 テクノロジーソリューションのシステムプラットフォームは、売上収益を100億円引き下げ5100億円とする。内訳はシステムプロダクトを50億円引き下げ2550億円に、ネットワークプロダクトも50億円引き下げて2550億円とする。営業利益は変更しない。

 ユビキタスソリューション事業は、売上収益を150億円引き下げ9850億円とする。内訳はPC/携帯電話事業が50億円減の6050億円、モバイルウェアが100億円減の3800億円。営業利益については70億円プラスの210億円とする。

 デバイスソリューション事業は為替見直しの影響が最も大きく、売上収益を150億円マイナスの5500億円とする。内訳はLSIを150億円下げ、2650億円とする。電子部品は2850億円のまま変更しない。営業利益は70億円引き下げてマイナス10億円という見通しとしている。

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