英語コンプレックス持ちが見つけたペラペラになる方法 – 日本経済新聞

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 国内で1日に刊行される新刊書籍は約300冊にのぼる。書籍の洪水の中で、「読む価値がある本」は何か。書籍づくりの第一線に立つ日本経済新聞出版社の若手編集者が、同世代の20代リーダーに今読んでほしい自社刊行本の「イチオシ」を紹介するコラム「若手リーダーに贈る教科書」。今回、お薦めするのは、前著「ずるいえいご」が5万部のベストセラーとなった青木ゆか氏の最新作、「なんでも英語で言えちゃう本」。本書では、簡単に英語で伝えられるようになる方法を紹介している。

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青木ゆか氏

 著者は「捨てる英語スクール」を主宰、米国公認会計士の資格を持ちます。1977年千葉県生まれ。高校時代に英国、大学院時代に米国に留学した経験を持つものの、当時は英会話に大きなコンプレックスを抱えていたといいます。そして、自らそれを乗り越えた経験をもとに学習メソッドを確立します。千葉大学大学院を修了した後、台湾系電子機器メーカーや大手外資系保険会社を経て独立。現在は企業研修や講演など幅広く活動しています。

■「英語がペラペラな人」の頭の中

 海外留学の経験のない人で、「英語が得意」と胸を張って言える人は、そう多くはないでしょう。いざ外国人を目の前にして英語をしゃべろうとすると、緊張してしまってなかなか言葉が出てこないものです。「英語で何というんだっけ…」とためらい、早く返事をしなければと焦っているうちに、ますますわからなくなってきます。そこで著者は「言いたいことを伝えるのに必要なのは単語ではありません、ある『考え方』だったのです」と指摘します。

 どんなことについても、止まることなく伝え続けられる人。
 それが本当の(英語が)ペラペラなんだと、その後気がつきました。
 そう、彼らは、「伝える」ための方法を知り、それらを駆使して、忍耐強く、自分が伝えたいことを英語にし続ける能力が並外れていたのです。(略)自分のことを「ペラペラではない」と思っている相手は、「すべての表現をあますところなく知っているのですか?」「頭の中に和英辞典、入っちゃってるんですか?」というようなニュアンスで聞いてきます。
 しかし、「ペラペラな人たち」は、「なんとかして、自分の言いたいことは相手に伝えることができる」と思っています。実は、これが「ペラペラ」の定義なのです。
(28ページ 第2章「すべてのペラペラ人が、なんとなく知っている事実」より)

 著者は「これみよがし」という言葉を例にあげて説明します。留学時代、ある友人がとても学生には手が届かないような高級車で学校に来たことがありました。そのとき、別の友人に「彼女ってものすごい『これみよがし』じゃない?」と言おうとした著者は、「単語がわからない…」とそこで止まってしまいます。すると、隣にいた「英語がペラペラな」日本人が「He was like, “Look at this!”」(彼、見て見て!って感じだったね)と言ったのでした。

■伝えたいことの「コア」を探す

 その後、和英辞典で「これみよがし」を探してみた著者でしたが、載っていませんでした。言い換えとして「誇示する」という言葉を引いたものの、辞書には見慣れない表現が並んでいるばかりです。

 こうした経験を踏まえて著者は「日本語は『動詞』が決定的に少ない言語」と指摘、動詞が多い英語に無理に置き換えようとするため、戸惑ってしまうのだと説明します。

 日本の英語教育では、「私はチョコレートが好きです」の英訳として、「I like chocolate.」だけを正解とするような教育が重視されてきました。だからこそ、「『like』を使わないで同じことを言うとしたら?」というような言い換えの訓練を積むことが大切になってくるのです。

 言い換える訓練を積むためには、シンプルに考えることが必要になってきます。著者は、そのために「パレートの法則」を活用してみようと提案します。物事の成果や結果の8割は、その要素や要因の2割に基づくといったものです。

 2割の「コア」の部分は何か? と常に自問自答し、そこを表現することに集中する。そして、捨ててしまった8割は、「ニュアンス」に過ぎないとして割り切ってしまいましょう、という考え方です。
 この考え方を持っていると、「言いたいこと」を英語に変換するのが劇的に簡単になります。
 どんなときも、英語に変換しようとして固まってしまうのは、「細部まで英語にしよう」と固執してしまうことが原因。
(53ページ 第3章「英会話は、“3語”でできる!」より)

■「自分にはできない」は勘違い

 例えば、「納豆」を辞書で引くとたくさんの説明が載っています。発酵食品であること、強いにおい、粘り気があること――。全てを伝えようとするときりがありません。「日本の伝統的な食べ物」(Japanese traditional food)。これだけを伝えれば十分なのです。本書の最後で、著者は英国留学の経験を振り返ります。

 自分の持っている可能性の大きさと、選択肢の多さと、そして、日本で見えていた世界の小ささに愕然(がくぜん)としていたあのころ。
 このまま日本で、「慣れ」という一番楽な世界にどっぷりと自分を浸らせていたら、いつの間にか老いて、選択の余地はどんどん狭められていく。
 周りが「だるい」「疲れた」と言っているのを聞いて、自分もそれに迎合していたら、きっとそれが「あたりまえ」で「常識」になっていき、自分は弱く、小さく、無力になっていく。
(197ページ 本当の「おわりに」より)

 悩み、「広い世界へ連れて行ってくれる」はずの英語にコンプレックスを抱き、それに押しつぶされそうになりながら、著者は独自の英語勉強術を生み出しました。そして、少しでも当時の自分のように苦しんでいる人の役に立ちたい――と著したのが本書です。

 第4章まではたっぷりと「なんでも英語で言える」ための方法を解説し、終章では実践編として練習問題もついています。いますぐ始められるトレーニングが満載だからこそ、「いつか勉強しよう」と思ったままの人に勧める一冊です。

◆担当編集者からひとこと 堀川みどり
 本書に書かれる方法論はみな、高校時代、大学時代と英語に憧れ留学したものの、うまくコミュニケーションが取れず苦しんだ著者が、数々の挫折体験を経て見出したものとのこと。編集中は、ゆかさんが打ち合わせに何度も足を運んでくださり、章立てからイラストのイメージ、ページ割りにいたるまで、たくさんの話し合いを重ねてできあがりました。
 こだわりの詰まった一冊で、図解も多く眺めるだけでも楽しいつくりになっています。ぜひお手にとってご覧いただけるとうれしいです。

(雨宮百子)

「若手リーダーに贈る教科書」は原則隔週土曜日に掲載します。

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