ヘッジファンドのオアシス、パナホーム子会社化に異議あり-過小評価 – ブルームバーグ

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香港のヘッジファンド、オアシス・マネジメントパナソニックが進めるパナホームの完全子会社化の内容に異議がある。パナホームの企業価値が低く見積もられていると判断し、株式交換比率の見直しを要求、拒否されれば、特別配当の実施を促す構えだ。

  セス・フィッシャー最高経営責任者(CEO)はブルームバーグのインタビューで、「パナホームの価値は著しく過小評価されている。少数株主に不公平だ」と指摘。パナソニクはパナホーム株を54%保有し、6月の株主総会で現状の完全子会社化案が承認される可能性を認めつつ、「そうなれば、公正な価格を裁判所で訴えるだろう」と述べた。オアシスはパナホームの2位株主

  パナソニクは昨年12月に住宅事業での経営資源の共有を図るため、パナホームを株式交換で完全子会社化すると発表、パナホーム1株に対しパナソニク0.8株を割り当てる。17日時点のパナホームの理論株価は1002円、終値は1050円だった。

  フィッシャー氏は、交換比率算定にパナホームの潤沢な現預金が反映されず、使われた3つの算定方法も不適当と主張。そのうち、類似上場会社比較法では時価総額がパナホームの1割に満たないタマホームなども含まれ、これらを排除して評価すべきと言う。ディスカウントティッド・キャッシュフロー(DCF)法では前提とされたパナホームの事業計画で、アナリストの多くがプラス成長を予測しているにもかかわらず、大幅な減益を織り込まなければ理論価格の最低値を再現できないと指摘した。

  フィッシャー氏は、現預金考慮後の株価収益率(PER)やEV/EBITDA倍率などが適切な評価手法とし、公正に評価したパナホームの理論株価の平均値は1617円(17日時点)。会社側の交換比率で算出される997円から5割以上の上昇余地があるとみる。交換比率が見直されなければ、パナホーム株主への還元策として1株670円の特別配当の実施を求める意向だ。また同氏は、1050円でパナホーム株を買うと会社側に申し出ていることも明らかにした。

  パナホーム広報担当の井筒克彦氏はブルームバーグの取材に、「株式交換の実施及び条件は少数株主を含む当社の株主に対し妥当なものであると考えている」とした上で、十分な説明責任を果たす必要もあり、「今後追加的な情報開示を行い、株主の理解を求めていく」と電子メールで回答した。パナソニク広報担当の石井響子氏は電話取材で、「今般の株式交換について、パナホームの株主にとっても内容およびプロセス双方の観点で公正なものと理解している」と述べた。

  パナホームの2016年4ー12月期決算短信によると、グループ会社間で余剰資金を蓄える関係会社預け金(740億円)を含む現金・現金同等物総額は950億円。パナホームの時価総額を6割上回る住友林業の634億円より2割以上多い。13年からパナホーム株を保有するフィッシャー氏は昨年9月、関係会社預け金は非効率で、同社株が著しく割安に放置されている主因と指摘した文書をパナソニク、パナホーム両社に送付した。パナソニクからは、預け金は法律や規則などを考慮しており、他の株主に不利益をもたらすものではないとの回答があったという。

パナホーム株買い増し5%保有

  それから間もなく、パナホーム完全子会社化のニュースに接したフィッシャー氏はことし1月末にパナホーム株を買い増し、現在の保有比率は5%。少数株主の過半数の同意を得るマジョリティ・オブ・マイノリティに相当すれば、「会社側は公平な価格と主張できない。今後も大いに持ち株を増やしていくつもりだ」としている。

  フィッシャー氏は、パナホームの完全子会社化問題を他の投資家にも周知させようとウェブサイトを開設した。今回の件は、日本のコーポレートガバナンス(企業統治)の「内容が順守されているのか、単なる形式化を理解する重要なテストだ。どのように個々の企業やアセットマネジャーが投票するのかみることになる」と話す。

  交換比率の算定でパナソニクは第三者機関に野村証券、パナホームはSMBC日興証券を選定。市場株価平均法、類似会社比較法、DCF法を使い、法律事務所、社外取締役などによる特別委員会の助言も踏まえ比率を決めた。野村ホールディングスの佐藤誠士広報担当とSMBC日興証の芝田浩一広報課長はコメントを控えた。

  クレディ・スイス証券の望月政広アナリストは、「パナホームはキャッシュもあり、住宅事業を行っているため、不動産も保有している。そうした企業を算定する際、バランスシートの資産価値を無視し、株式交換比率を決めるのは問題がある」と指摘。親子上場、グループ間の取引であり、「透明性やフェアネスを一番気にしなければならない」とみる。企業のガバナンス普及などを目指す会社役員育成機構のニコラス・ベネシュ氏は、通常通りに現金価値が正しく評価されているなら、「核となるビジネスの価値は低いとみなされているようだ」とし、会社側が示した株式交換比率が「プロセスからみると、適切だと信じられる根拠は何もない」と言う。

任天堂や京セラ、東芝にも物申す

  オアシスはこれまで、任天堂に対しスマートフォン向けに「スーパーマリオ」などのソフトを供給するよう戦略転換を求め、京セラには保有するKDDI全株の売却と売却額の半分に当たる約5000億円の株主還元を要求した。東芝には、子会社の東芝プラントシステムとの間におけるキャッシュ管理方法を見直すよう提言した経緯がある。

  京セラからの反応はないが、東芝と東芝プラの問題では「現金に対し公正な利子が支払われるようになっている」とフィッシャー氏は説明。「わずかだが進歩。多くの人がしていることが正しいとは限らない」と語った。




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