アングル:G20のGDP連動債市場構想、主導役不在で停滞 | ワールド … – Newsweekjapan

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[ロンドン 10日 ロイター] – 20カ国・地域(G20)が債務危機回避の一環として取り組んでいる国内総生産(GDP)連動債市場の創設構想が行き詰まっている。構想を支持する先進国の中で、率先して発行しようという動きが見当たらないためだ。複数の関係者がロイターに語った。

GDP連動債は、投資家への返済額が経済成長次第で変わる特徴を持ち、景気後退で歳入が減れば返済も少なくなる。つまりある国が経済的に困難な状況に陥っても、例えば最近のプエルトリコなどのようなデフォルト(債務不履行)を避けられる可能性がある。

G20の政策担当者は昨年、同債市場立ち上げを目指すことで合意。国際通貨基金(IMF)に同債に関する専門的な報告書の取りまとめを委託した。

今年に入り、IMFが4月終盤にも公表する報告書の内容がG20の事務方に伝えられた。彼らは3月(訂正)17─18日にドイツで開くG20財務相・中央銀行総裁会議にそうした情報を報告するとみられる。

2人の関係者の話では、IMFはGDP連動債にとって一番の障害は投資家の需要がないことと、そうした債券を発行することで国の評判が悪くなることだ、との見方をG20の事務方に示した。評判が悪化するのは、これまでのGDP連動債が新興国の債務再編において投資家に償却を受け入れてもらうための手段として発行されたケースしかないからだ。

昨年、G20で提唱された計画の1つは、先進国がまず発行して投資家のGDP連動債に対する許容度を高めるというものだった。ところが関係者によると、どの国も真っ先に発行してリスクを引き受けようとしたがらず、計画は頓挫した。

<懐疑的なドイツ>

関係者の1人は、今年のG20議長国であるドイツの国内で、GDP連動債について非常に懐疑的な見方が出ていることも、市場創設の障害だと指摘した。

ドイツでは、投資家にこの先のGDP連動債市場のリスクにさらされるのを甘受してもらうためには、株式より安全な投資先とみなされている同債といえども、政府が支払う必要があるプレミアムがあまりに大きくなるのではないかと懸念する声が多い。

IMFの報告書取りまとめに協力して投資家や潜在的な発行体などの市場参加者への聞き取りを行った投資助言会社ニューステート・パートナーズのラファエル・モリーナ氏によると、市場参加者は関心を持っているが、GDP連動債のメリットや具体的な発行方法を知りたがっている。

モリーナ氏は「GDP連動債の市場が誕生する前に、まだ解決すべき不安要素や疑問が数多く存在する」と話した。

<長い時間必要>

これまでにアルゼンチンは2005年と2010年の債務再編時にGDP連動のワラントを導入したが、景気回復とともに利払いコストが膨らんでいる。

またイングランド銀行(英中央銀行、BOE)はGDP連動債の法的枠組み整備を進める作業を主導してきたとはいえ、英国経済の道筋が欧州連合(EU)離脱によって不透明化している以上、同債の妥当性を証明できそうにはない。

先月にはシンクタンクのCIGIが、米国こそGDP連動債の先鞭をつける条件が最も整っていると提言した。ただ米国経済を犠牲にして他国がより恩恵を受けるような市場を育成しようとすれば、トランプ大統領が掲げる米国第一主義と衝突する、と関係者は予想する。

フランスはユーロ圏で初めて物価連動債を販売し、調達資金を環境対策に限定するグリーンボンドもいち早く発行した実績を持つ。それでもある政府高官は、大統領選と議会選が迫り、政権交代が見込まれている中ではGDP連動債の発行は視野に入ってこない、と述べた。

歴史を紐解けば、新しい債券の市場が相当な規模に達するには何十年もかかる可能性があることが分かる。物価連動債は英国が1980年代初めに発行を開始したが、米国とフランスが追随したのは1990年代終盤で、そこでようやく一定規模を確立した。

(John Geddie記者)

ロイター
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