三越伊勢丹HD/大西社長、幹部とのコミュニケーションに課題 – 流通ニュース

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三越伊勢丹ホールディングスは3月13日、都内で次期社長となる杉江俊彦氏による記者会見を行った。

<次期社長の杉江氏>

3月7日に大西洋社長の辞任表明を受けたもの。

大西社長の経営での課題について、杉江次期社長は「一体感が課題だった。大西社長とは5年間一緒にやってきたが、一番欠けていたのは対話、コミュニケーションだった。大西社長はアグレッシブでパワーがあり、マスコミを含め外の人に向けて対話をしていた。それ自体は小売業としてプラスの面もあったと思う。一方で、中に向けての対話が欠けていた。今後はできるだけ中の対話の時間を増やしていきたい」と語った。

「個人のマネジメント手法の違いだが、大西社長は現場の若手から意見を良く聞いてそれを吸い上げていた。ただ、役員を含む中間管理職との対話が欠けていた。現場が分かっていても、中間管理職が理解できていなければ、結果的に現場は動かない。私は、中間管理職を含むマネジメント層との対話を重視していきたい。自分は前に出るのではなく、中に向けて話していきたい」と述べた。

具体的なコミュニケーション不足の例として、杉江次期社長は「大西社長が取材の中で、構造改革店舗の名前を上げて話したことがある。店を閉めることではなくリニューアルや定期借地の導入という話だったが、タイミングが悪く。ちょうど千葉三越と多摩センター三越の閉店決定直後で、マスコミが閉店と報じてしまった。各店舗に問い合わせがあり、閉店ということであれば商品は供給できないといった誤解が拡がり、やりたかったイベントができないことがあった。組合からも経営に対して気を付けてほしいという正式な話し合いがあった」と語った。

また、「基本的な改革の方向性は変えない。構造改革は、経営計画と実行計画の二つで進んでいる。経営計画は間違っていなかったが、実行段階に移すところで、現場との対話ができていなくて、現場の理解が進んでいなかった」という。

大西社長が進めた仕入構造改革については、「仕入構造改革を最優先にやってきたが、これを現場に降ろした時のやり方に問題があった。うまくいっている部門もあるが、在庫が増えている部門もあり、広範囲に広げすぎた。うまくいっているところとそうでないところがあり、課題については修正していく」と述べた。

<中長期計画の基本路線は踏襲>

中長期計画については、「自分も経営戦略本部長として関わり機関決定も経ているので変えない。具体的な内容は5月の決算・IR時に説明する」と述べた。

「グループのポートフォリオを明確にしていく。百貨店分野は本業としてやっていくが、それだけでは大きく成長できないので、ポートフォリオを変える。J.フロントや高島屋は不動産事業でしっかりと収益基盤がある。当社は百貨店事業の比重が高く、どうしても百貨店のトップラインで収益がぶれる。今後は、不動産部門できちんと収益目標をもってやっていく。有力な不動産が十分に活用できていないので、これを明確にして集中していく。一番確実にできるのは不動産だと思う。ただ、不動産業として仕入れをして不動産事業をやるのではない。あくまで、いま持っているものを最大限活用する」と語った。

また、「大西社長はワンマンという報道があるが、経営戦略は私自身のものを出していた。旅行、飲食、ブライダルは経営全体で進めていく。飲食は春に1号店を出す計画で、これは予定どおりだ。本来は3月10日に飲食店の1号店を発表する予定だったが、これは改めて発表する」と述べた。

2020年度に営業利益500億円を達成する計画については、「これは慎重に精査していく。2020年度に500億円の営業利益という数値にはいろいろなファクターがある。いろいろな計画を積み上げてきた数字だ。例えば、不動産事業で既存の不動産として新宿の駐車場がある。今は4階建てだが、本来は8層にできる。建て替えをすると建替え費用が営業利益に反映され、2020年度に500億円の営業利益は無理となる。そういうことも踏まえて検討してきたい」と答えた。

「2017年、2018年にしゃがみこんで、2019年、2020年で成長に向けてやっていきたい。これは新体制とも話あって決めていく。人件費については、労働組合ともしっかりと話をしていく」と述べた。

<質問に答える杉江氏>

店舗閉鎖については、「経営戦略本部で店ごとのキャッシュフローを精査している。いまは黒字でも将来的な耐震補強などで重いキャッシュフローが発生するならば、構造改革に乗せなければならない。多摩センター三越と千葉三越を閉めたので、経営に重大なインパクトを与える店舗もいまはない。松山三越は債務超過だが、ホールディングスは発足した際に、松山三越の不動産をホールディングスに移したことによる債務超過であり、キャッシュフローは債務超過ではない。ただ、地方は人口激減やネット通販の攻勢もあるので、このままでいけない。決して整理が遅れているわけではない」と述べた。

「百貨店というのは、昭和に先輩が作り上げた世界的にも成功しているビジネスモデルだが、現在の消費者の変化に対応できていない。いまの百貨店モデルでは生き残っていけない。何らかの手は打たなくてはならない。店を閉めるのは、(マスコミの)皆さんが思う以上に経営に対するインパクトは大きい。千葉三越と多摩センター三越では、全従業員の住所と通勤経路を調べて、他の事業者で働けるかを調べた。これは大変な労力で、来年度は店舗閉鎖の費用が販売管理費にのり、実際にプラスに働くには数年かかる」と語った。

「店を閉めるのは、大変だしマイナスのインパクトが生まれる。リ・モデルレベルで立ち直れるのか、定期借地でテナントを導入し生き残るのか、閉店するのか、いろんなレベルで検討をしてききたい。仮に閉鎖をするとしても早くは発表できない」と語った。

空港型市中免税店については、「うまく行っていない。一つは認知度がない課題がある。ただ認知度は上がってきており、現在は前年比50%増となっている。二つ目は店舗の利用者が羽田・成田から帰ると見ていたが、実際には関西国際空港や北海道、九州の空港から帰るお客が予想よりも多かった。空港の保税倉庫を活用して商品を空港で渡すのが空港型市中免税店の仕組みであるため、こういったお客は断るざるえないといった課題がある。ただ、空港型市中免税店は日本空港ビルディングが主体の事業で、我々の出資比率は27.5%しかない。事業の主導権は日本空港ビルディングが持っている。大家として家賃をいただいており、事業として、損益は問題がない」と述べた。

「一番苦しんでいるのはインバウンドではなく、ECシフトでありEC事業は早期に立て直していきたい。店舗は一等地で交通の便も良く、今のお客さまのニーズに対応すれば収益をあげられる。ただ、既存のリソースだけでは難しい。エステや食品をやっているのは、新しい百貨店のコンテンツにするためだ。いまのままでは、ほとんどのものは、ECの通販に流れていく。店に来る理由がないといけない。食事やエステみたいなコト事業をしっかりとやっていきたい」と語った。

なお、自身の社長就任の経緯については、「昨年11月に2018年度に営業利益500億円の目標を2020年に延期した時点で、大西社長と石塚会長が責任の取り方について検討をしていた。無責任に後継を決めずに辞める人ではない。7日に内示があり会見が遅くなった」と説明した。






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