大阪府立三国丘高等学校「ビビック」、蚊除け商品開発でグランプリ – ニュースイッチ Newswitch

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高校生ならではの自由な発想と、それをまとめ上げるチーム力。「高校生ビジネスプラン・グランプリ」は今年度で5回目を迎える、日本政策金融公庫が主催するビジネスプラン・グランプリだ。平成28年度(第4回)はエントリー総数2,662件、参加校数324校、参加生徒数7,520名といずれも過去最多となった。

本連載ではその中より上位校の事例を紹介する。高校生とはいえレベルの高い事例の数々、ビジネスに役立つアイデアを得られるだろう。


 「スーパーグローバルハイスクール(SGH※)」の指定校である大阪府立三国丘高校。SGHの授業の一環としてビジネスプラン・グランプリに応募している。特に目立つチームではなかった「ビビック」。 6人の個性はバラバラ、飛び抜けたリーダーがいたわけでもない。なぜ日本一に輝くことができたのか。そこからは、日々改善を積み重ねる粘り強さ、6人が平等に自分の仕事をこなす責任感というキーワードが見えてきた。(※SGH・・・国際的に活躍できる人材育成を重点的に行う高等学校を文部科学省が指定する制度。)

ビジネスプラン・グランプリの常連校

大阪府立三国丘高校


 府内でも屈指の進学校の一つ。前回のビジネスプラン・グランプリにもファイナリスト10組に入るチームを輩出。今回は6チームがそれぞれフィリピンのBOPビジネス※のプランを考え、チーム「ビビック」以外にも、2チームがセミファイナリスト賞、1チームがベスト100をそれぞれ受賞。(※BOPビジネス・・・低所得層を対象とする国際的な事業活動。)

蚊除け商品の開発、企業へのヒアリング、「人体実験」も

ブレスレッド「Moskids」と洗濯洗剤


 フィリピンではデング熱に感染する子どもが多い。そこで、蚊が嫌がる現地の植物、シトロネラオイルなどを使った蚊除け商品を製造・販売する。考えた蚊除け商品の一つは蚊を遠ざけるおしゃれなブレスレッド 「Moskids(モスキッズ)」。最初はブレスレッドの麻ひも部分にオイルを付けることを考えていたが、ヒアリングに協力してくれた森製紐株式会社(大阪市)から、麻に油が浸透しにくいことを聞く。そこでフェルトのタグを付けることにした。同社でのアドバイスが転機になって、プランの実現性が高まった瞬間だった。もう一つは、レモングラスとシトロネラオイルを使った洗濯洗剤。実際にこの洗剤で洗濯したTシャツを着て蚊に刺されないか“人体実験”もしたという。

自分たちの目と耳で確かめたことをぶつける

チームリーダーの飯塚莉名さん

 

 互いの存在をほとんど知らなかった6人。 2年生の4月にくじ引きで今のメンバーに決まった。最初はぎこちない雰囲気が漂っていた中、藪日向さんがムードメーカーとなり徐々に打ち解けた。リーダーの飯坂莉名さんは「形式上は私がリーダーになっていますが、みんなをグイグイ引っ張ったわけではありません。平等だからこそよい意味で意見をぶつけ合うことができました」と振り返る。7月にフィリピンへフィールドワークにでかけたが、ネットで調べたことと現実には大きな違いがあった。飯坂さんは、「自分の目と耳で確かめることがいかに大切かが分かりました」という。その気持ちはメンバー全員に共有され、良い結果を生むことにつながっていく。

活動風景


 基本的にこのチームはのんびり系。仕切る人がいないというマイナス面もあるが、夏休みを過ぎてからようやくエンジンがかかり出し、毎日のように会うことが増えた。最後まで悩んだのが「洗剤」をプランに入れるかどうか。メンバー内で意見も割れたが、締め切りぎりぎりで実験成果が出た。飯坂さんは、「最初は諦めようと言っていた自分が恥ずかしく思えました」という。

 

 最終審査会当日、プレゼンできるのは3人。6人全員がその場に立ちたいと希望したが、先生が苦渋の判断で3人を指名した。でも思いは一つ。最初はベスト100に入れば自分の中では合格点と思っていた飯坂さん。「多くの人に自分たちのプランを聞いてもらえれば悔いはない」と舞台に上がった。いつしか、一生この仲間と付き合っていきたいという絆が生まれていた。

理想をどのように現実化させるか。しんどい挑戦あえてさせる

<指導にあたった田中和代先生>

 ブレスレットや洗剤がクローズアップされていますが、このプランには、売り上げの一部をチャリティーとしてフィリピンの貧しい子供たちに寄付することが含まれています。プランをつくるときに抱いた「貧しい子供たちを蚊から守りたい」という生徒の思いは、最後まで揺るぎませんでした。

 

 高校生は世の中にある問題を知ったとき、「誰かを助けたい」「社会をよくしたい」など、貢献したい気持ちと理想を抱きます。しかし、それをいかに継続的なものとして現実化させるかを考えることが大切で、私はあえてそこに挑戦させています。プランをつくることを通じて経済の仕組みや社会のひずみを学ぶことになり、それが進学や就職など自らの人生の大きな指針となります。また、プランを考えるうえで企業や行政などたくさんの大人が応援してくださるという経験も、とても貴重なものとなります。

指導にあたる田中和代先生

 

プランづくりで意見割れる/OBのアドバイスをもとにプラン練り直し、最後まで諦めず粘り勝ち

 最後まで諦めずこだわったポイントが「洗剤」をプランに入れたこと。メンバーたちはそう考えている。当初はブレスレッドだけだった。そんな時に高校のOBの大学院生がアドバイス。「これじゃプランとしてインパクトが弱い。日本にあるものを売るだけではダメだ。」メンバーの隅野果歩さんも同じ思いだった。

 

 隅野さんに洗剤というアイデアが浮かぶ。「毎日身につける衣類に蚊除け効果が加わるとよいかも」と賛同してくれたのが寛座由真さん。ところが、ほかの4人はプラン提出に間に合わないと反対。二人は洗剤を何回も手作りし、自宅でも洗濯をして改良を重ねていったが、なかなか服に蚊除けの匂いが残らない。二人が「これでダメなら諦めよう」と実施した最後の実験が見事に成功、彼女たちの意地と執念が見事に結実した。

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