国境が阻むITSの変革、欧州は「クロスボーダー」で主導権を握れるか (1/4) – @IT MONOist

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アジア太平洋地域、北米、欧州で持ち回りで開催されるITS世界会議。2017年はカナダで行われる。ITS世界会議が欧州以外で開催される年には、欧州委員会が「ITS EU会議」を開く。会場で見えてきた、トラックの隊列走行や自動運転シャトルサービスなど欧州が注力する分野の現状と、曖昧な今後の方向性を紹介する。

あまりにも分かりにくいプログラム構成

 ERTICO、ERTRAC、C-ITS、TM2.0、I_HeERO……何の略称なのか、それぞれの関係性がどうなっているのか、何がなんだか良く分からない。日本の自動車産業界の方の多くが、こうした欧州の次世代交通や次世代自動車に関する組織や協議体、そして施策の全体図をよく理解できていないのではないだろうか(※1)

 筆者とて、それは同じだ。世界各地で自動車産業、IT産業、エネルギー産業などの現状を把握するため日々飛び回っている身であるが、少しでも目を離すと欧州での話が正確にフォローできなくなってしまう。

 今回、筆者がITS(Intelligent Transport Systems:高度道路交通システム)のEU会議を取材することにしたもの、激動期に突入した自動車産業界において、欧州の行政関係者が今何を考え、そしてこれから何をどのように進めようとしているのかを肌感覚で味わおうと思ったからだ。

(※1)ERTICO:European Road Transport Telematics Implementation Coordination Organization

ERTRAC:European Road Transport Research Advisory Council

C-ITS:Cooperative Intelligent Transport Systems

TM2.0:Traffic Management 2.0

I_HeERO:Infrastructure Harmonised eCall European Pilot

「クロスボーダー」の地

ストラスブール市街はLRTが整備されている
ストラスブール市街はLRTが整備されている(クリックして拡大)

 ITS EU会議の舞台はフランス東部の街、ストラスブールだ。ドイツ国境に隣接するライン川まで数km程度しか離れておらず、日常的にドイツとフランスを行き来する人々が極めて多い地域である。また、Daimler(ダイムラー)の本社があるシュトゥットガルトやIntel(インテル)の自動車関連部門があるカールスルーエからは、100km程度しか離れていない。

 ストラスブールというと、近年はLRT(Light Rail Transit:新型路面電車)を活用したコンパクトシティー化を成功させた地方自治体として世界的に名高く、日本の富山市や米オレゴン州ポートランド市などが交通施策のお手本としたことでも知られている。

 筆者は1990年代からMercedes-BenzやBMW関連でドイツでの取材が一気に増えたため、ドイツにほど近いストラスブールは何度も訪問している。その場合はレンタカーや欧州メーカーの広報車での移動がほとんどだった。

 そこで今回は、フランクフルト空港からルフトハンザ航空が運営する長距離バスに乗りアウトバーンを南下して約3時間。ストラスブールに入ってからもレンタカーは借りず、LRT、バス、そして徒歩で1週間を過ごし、公共交通の在り方について熟慮してみた。

オープニングセレモニーであいさつするストラスブール市長のローランド・レイス氏
オープニングセレモニーであいさつするストラスブール市長のローランド・レイス氏(クリックして拡大)

 市街地から北東へ約3kmの位置にある、コンベンションセンターで開催された「第12回 ITS EU会議」。ITSの議論の場というとITS世界会議が有名だが、欧州内でITS世界会議が開催されない年に限り、EC(European Commison:欧州委員会)が主導でITS EU会議を設けている。ちなみに、ITS世界会議は2016年がフランスのボルドーでの開催で、2017年はカナダのモントリオール、そして2018年はデンマークのコペンハーゲンを会場とする。

 今回のITS EU会議のキャッチコピーは、「ITS BEYOND BORDERS」。約3000人に及ぶ会議参加者による合計100を超える各セッションでも「CROSS BORDER(国境を超える)」というキーワードが度々登場した。

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