引き際のタイミング 調査対象の66.1%「後継者がいない」 – 物流ウィークリー

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 ある情報会社が昨年、国内の全業種を対象に行った調査では、分析した28万9937社のうち、66.1%にあたる19万1713社に後継者がいないことが判明した。会社経営の中で避けては通れない社長交代。「60歳から後継者育成を進めるのでは遅い」と話す経営者がいる。後継者に安心して会社を譲るのに10年かかったという場合もあることから、早期に宣言し、準備期間を長めに取るというケースが増えている。初代のオーナー経営者が突然の病に倒れる、もしくは認知症を発症するなどすれば、想定した事業承継のレールは一気に崩れる。健康寿命を考えると、60代から準備をしていると、それほど時間は残されていないようだ。

 経営者が自ら敷いてきた路線に幕引きするのは、思い切りも大切だ。2020年頃までには団塊の世代が一斉にリタイアするため、トラック運送業でも今後、数年で世代交代をする企業が多く出てくるのではないだろうか。別の調査では中小事業者のうち、半数以上が「自分の代で廃業をする予定」と回答している。

 社長の年齢に目を向けてみると、2016年の社長の平均年齢は、若い順で1位が大阪府、2位の滋賀県に次いで3位以下には兵庫県が6位、京都府が10位にランクインし、近畿地方は比較的平均年齢が低いことが明らかとなった。一方で、2011年の調査開始以来、初めて平均年齢が60歳を超えたことから、事業承継の重要性も指摘されている。





 昨年4月に発刊された中小企業白書(2016年版)には、このような記載がある。「全体的に高年齢化に伴い、投資意欲の割合が低下していく傾向があることが分かる」。また、「『経営者の交代あり』の企業は、『経営者の交代なし』の企業に比べ、経常利益率の上昇幅が大きいことが見てとれることから、経営者の交代が企業の収益力に寄与していることが示唆される」

 この二つのデータから今後、経営者が意識すべきことは何だろうか。多くの社長が就任した数十年前と決定的に違うのは、環境変化が著しいことだ。それを促進しているのが、IT技術とインターネットだ。

 例えば、パソコンを使用し膨大なデータから、経営で必要な数字を簡単に引き出すことができる。またインターネットでは、膨大な量の情報を安価に収集できるようになった。いち早く時代を先読みし、その環境変化に対応する企業が、生き残りの戦いに勝つことができる。過去の成功体験だけでなく、今の時代に合った感性を持ち、経営をしていくことが重要といえる。

 環境適応ができるよう自社を分析し、勝負していくためには新しい感性が必要だ。それが、この中小企業白書の中にある「経営者交代」ではないだろうか。逆に言えば、常に新しい感性を持ち続け、時代の先読みができ、実行できるのであれば、交代の必要はないといえる。一概に社長の年齢で決めるものではなく、新しい時代の流れを感じることができる人が、経営を実行し続けるかどうかという視点で決めていくべきだ。

 実際のところ、社長の引き際は難しい。権力と名誉を伴う地位を自ら退くことは、実は容易ではない。日本の歴史をみると、戦国時代でも親から子への家督を譲った後に家が安泰となった例や、一方で失敗し滅亡した例のどちらも散見される。しかし、社長にカリスマ性があるほど、自分がいつまでも現役として居座り続けることで、その後の世代交代に失敗する。トップが抱える悩みは、どの時代も同じということだろう。

 大手企業の社長交代劇がたびたび話題にのぼるが、長年、会社を支えてきた社長が引き際を誤り、晩節を汚す結果を招くようでは、その後の企業イメージにも関わる。「立つ鳥あとを濁さず」ではないが、去り際は美しくありたいものだ。



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