銀行内でスタートアップを作る – Peterjan van Nieuwenhuizen氏インタビュー – InfoQ Japan

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Peterjan van Nieuwenhuizen氏は、インドネシアのBTPNでスマートデジタルバンキングのヘッドを務めている。彼はAgile Indonesiaカンファレンスにおいて、伝統的な銀行でスタートアップのメンタリティを作るために必要な文化的変化、それがもたらす課題と機会、それを実現するために必要になったものについて語る予定だ。

彼は2015年にBTPNへ入社し、「Jenius」を作り上げた。Jeniusのローンチはインドネシアの銀行業界を変えるものだった。他の銀行の多くがJeniusデジタルバンキングアプリに続いている。

自らの体験について、彼はInfoQに語った。

InfoQ: Peterjanさん、少し詳しく自己紹介をお願いします。

Peterjan van Nieuwenhuizen: はい、私はオランダとイングランドで育ち、コンピュータいじりに多くの時間を費やしました。そのため、テクノロジーについては早くから関心を持っていました。大学でコンピュータサイエンスと数学を学んだ後、少し方向性を変えて、金融サービスにほとんどの時間を費やしました。そして数年前、現在のフィンテックとデジタルバンキングの波が重なり合い、私は2つの関心を組み合わせる機会を得たのです。仕事以外では、旅行、読書、クラシック音楽を楽しんでいます。

InfoQ: Jeniusのアイデアはどうやって生まれたのですか、また、そのプロダクトはどのように始まったのですか?

van Nieuwenhuizen: 実のところ、BTPNは「リテールトランザクションバンキング」に積極的ではなかったのですが、ビジネスの資金面を強化する機会を模索する必要がありました。従来型の銀行をゼロから作るのは選択肢にはなく、インドネシアのデジタル化と組み合わせることでJeniusが生まれました。2015年に入社したときに私たちがまずやったのは、市場と顧客をたくさんリサーチすることでした。みんなが実際に何を求めているのか、何に関心があるのか、現在の金融サービスとの戦いは何なのか、を理解するためです。そのリサーチは、Jeniusのあらゆる設計の基礎になっています。

InfoQ: Jenius以前、BTPNはコンシューマーバンキングに参入していませんでした。こうした大規模な組織をデジタルコンシューマーバンキングに向かわせる際、あなたが直面した最大の課題は何ですか?

van Nieuwenhuizen: 当初から、Jeniusを構築して運用するためには、銀行のこれまでの分野とはかなり異なるチームと文化が必要だと認識していました。これについては経営陣からの強力なサポートがあり、「銀行内スタートアップ」を作る余地がありました。おそらく最大の課題のひとつは、銀行外の人たちを引きつけて、Jeniusが面白くてエキサイティングな仕事場だと思ってもらうことでした。まったく異なる職場環境、人事制度、服装規定などを作ることは重要なことでした。今や活気のある人材ミックスになっています。バンカーもいますが、ほとんどはそうではありません。技術者はたくさんいますが、技術に少し難のある人たちもいます。若者、そして若い心を持った人たちなどです。もちろん、より伝統的な銀行ITの上に、アジャイルなIT環境を作ることも課題でした。

InfoQ: BTPNについて感心したのは、とてもモダンでイノベーティブに見えることです。BTPNには、新しい銀行商品を別企業としてスピンオフするモデルがあるように見えます。Jeniusはその一例ですが、BTPN Syariah(マイクロファイナンス)もそうです。そうしたイノベーションと特別な文化の基礎には何があると思いますか?

van Nieuwenhuizen: うーん、なかなか答えにくい質問ですね。結局は人材と文化になるのだと思います。後者(文化)から始めましょう。BTPNの精神として一番言われているのは、「善いことをして成功する」ことでしょう。私たちのビジョンにあるように、銀行(実際にはその従業員を意味する)は、「何百万人もの人たちの人生を変える」手伝いをするため、インドネシアにポジティブな影響を心からもたらそうとしています。その精神がオープンマインドをはぐくみ、何かを革新したり、新しいことをしたり、これまでとは違うやり方をしたりするために、銀行を未知の領域に枝分かれさせるのだと思います。善いことをして成功する、インドネシアをより良く変える、という目標に貢献するのであれば。もう一つは、人材です。経営幹部以下、みな本質的に寛容で、親切で、しばしば情熱的です。私たちが目指しているポジティブな影響をもたらすために必要なことに気にかけて、ただやりたいと思っているのです。スタッフの多くが複数の新規ビジネスベンチャーに関わっています。それがとても好きな人もいます。彼らは事業経営よりも新規ビジネスの構築を本当に楽しんでいるんです。

InfoQ: 銀行の他部門(また外部)から、Jeniusはアジリティのロールモデルだとみなされています。Jeniusではアジャイルをどのように始めたのですか?

van Nieuwenhuizen: そう言ってくれるのはありがたいことです。実際には、まだ学ぶべきことがたくさんあると思っています。インドネシアの様々なプレイヤーからも学ばなくてはなりません。いろいろな意味で、私たちにはあまり選択の余地がないと思ったため、単に始めただけなのです。もし顧客に資産管理や支払いなどのアプリを提供しているなら、頻繁に機能を追加・調整する必要があるでしょう。ウォーターフォール開発(また同様の手法)だと、そうしたアプリに4-6週毎に意味のあるアップデートをリリースするなんてできません。そこで、私たちはインドネシア内外のアジャイル実践者に質問して、彼らから学び始めたのです。

InfoQ: この2年間、Jenius(そして銀行全体)でのアジャイルはどう変化しましたか?

van Nieuwenhuizen: 3つの大きな変化がありました。1つ目は、いっそう開発者を社内に、そしてビジネスと同じ場所に移したことです。もともとはオフショア開発がほとんどで、ベンダーが管理していました。2つ目は、本当のDevOpsツールチェーンを構築したことです。もともとは、多くのこと(たとえばデプロイメントとテスト)を手作業でやっていました(あるいは、やろうとしていました)。今や大部分が自動化されています。3つ目は、BTPN全体で見て、Jeniusだけでなく銀行内のあちこちで、アジャイルを使い始めたことです。

InfoQ: あなた方は多くの国をまたがって仕事をしていますね。インドネシアの「デジタル変革の状況」をどのように思いますか?

van Nieuwenhuizen: 興味深いミックスだと思います。まず、消費者は多くの国よりもデジタルに精通しており、並外れてモバイルファーストです(たとえば、西欧諸国の多くでは、ノートパソコンによるインターネットアクセスがまだ非常に一般的ですが、インドネシアの人の60%以上は、スマートフォン経由でのアクセスが一番、もしくはそれしかありません)。この数年で、本当にエキサイティングなテックスタートアップが生まれており、海外のプレイヤーもインドネシアを新しいものが生み出される土地だと思っています。その一方で、多くの人たち(大企業もスタートアップも)は、(アジャイル、(ビッグ)データ解析、デジタルマーケティングといった領域で)適切な知識と経験を持つ人材を見つけるのが難しい、と不平を言っています。「デジタルインドネシア」が本当にその潜在能力を発揮できるように、必要な人材プール、スタートアップの(ベンチャーキャピタル)資金調達などを活性化させるには、さらに多くのことをやる必要があるでしょう。

InfoQ: インドネシアではアジャイルが人気になっているようですね。今年だけでもたくさんの会社が始めています。インドネシアでの「アジャイルの状況」をどう思いますか? また、17,000島全体に展開するために何ができると思いますか?




van Nieuwenhuizen: もちろん、インドネシアには、かなり高度にアジャイル開発をしている(特に小さな)プレイヤーがたくさんいます。しかし全体的に見て、特に大企業も含めて、初期段階にあり、まだかなり長い道のりが必要だと思います。1年前と比べると、はるかにアジャイルの認知度(アジャイルとは何か、なぜ重要なのか、なぜ必要なのか)は高いように思いますが、多くのIT分野では、本当の採用にはまだほど遠い状況です。全国に「アジャイルを広める」ためには、さまざまなことが必要だと思います。1つ目は、スクラムマスター、プロダクトオーナー、テックリード、開発者といったスキルセット全体にわたって、十分なアジャイル実践者を含む強い「アジャイル人材プール」を構築するため、やるべきことはまだまだあります。DevOpsツール(GitLab、Jenkins、Appium、Seleniumなどなど)の経験も必要で、場合によっては、クラウドソリューションを活用してツールを管理しやすくするためのインフラ改善も必要です。2つ目は、かなりの労力をかけて「ビジネスサイド」にアジャイルを説明する必要があります。(シニア)マネージャは、アジャイルとは何か、なぜ重要なのか、なぜビジネスにそれが必要になるのか、どうすれば本当に機能するのか、何を本当に必要としているのか、などを理解する必要があるでしょう。



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