トランプ政権に反旗 カリフォルニアで環境投資再び – 日本経済新聞

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 「これは私のためではない。(将来の社会を担う)あなたたちのためだ」

 米カリフォルニア州のジェリー・ブラウン知事は州議会でこう述べて「キャップ・アンド・トレード方式」の実施期間を10年間延長する法案をアピールした。キャップ・アンド・トレード方式は排出量取引制度の1つで、企業に温暖化ガスの排出枠を設定し、過不足分を取引する仕組みだ。

排出量取引制度延長の署名式に参加したカリフォルニア州のブラウン知事(左)とシュワルツネガー前知事(7月25日、サンフランシスコ)=AP
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排出量取引制度延長の署名式に参加したカリフォルニア州のブラウン知事(左)とシュワルツネガー前知事(7月25日、サンフランシスコ)=AP

 ブラウン知事は民主党だが、州議会では共和党の議員の一部も賛成に回り、7月にこの法案が州議会で成立した。2020年までだったキャップ・アンド・トレード方式の実施期間は30年までになった。

 米国のトランプ大統領は6月、地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」離脱を表明した。だが、ブラウン知事はそのようなことをまったく意に介していない。キャップ・アンド・トレード方式の延長はその表れの1つであり、例えば6月には温暖化ガスの排出量を減らすために中国の習近平国家主席と話し合った。

 カリフォルニア州の経済規模は世界で6番目に大きな国と同じ程度と言われている。同じぐらいの規模の国にはフランスやインドがある。その経済力を背景にブラウン知事は地球温暖化対策でトランプ大統領と張り合っている。

 ブラウン知事のこうした姿勢は、クリーンテック(環境関連技術)に関係する企業や団体に高く評価されている。キャップ・アンド・トレードの延長法案が成立したとき、クリーンテックの関係者や団体は歓迎する旨のステートメントを発表した。クリーンテックを利用するインフラプロジェクトなどに資金を投じているジェネレートキャピタルのジガー・サハ会長兼共同創業者は「カリフォルニア州での投資金額を現在の2~3倍にする予定だ」と言い始めるようになった。

 シリコンバレーでもプラグ・アンド・プレー・テック・センター(P&P)という投資会社兼起業家支援会社がクリーンテック関連のスタートアップの支援に取り組んでいる。

カリフォルニア大学バークレー校在学中に交換留学で来日。日本のIT(情報技術)産業にも詳しく、技術誌やウェブサイトなどでジャーナリストとして活動。日本での勤務経験もある。

カリフォルニア大学バークレー校在学中に交換留学で来日。日本のIT(情報技術)産業にも詳しく、技術誌やウェブサイトなどでジャーナリストとして活動。日本での勤務経験もある。

 00年代後半に起きたクリーンテックブームは一時的なものに終わったが、その後ソーラーパネルや蓄電池などクリーンテックに必要な部材が安く手に入るようになっている。しかも若者の間では地球環境問題への関心が高い。こうした理由でP&Pはクリーンテック分野のスタートアップにとってこの状況は絶好のチャンスだと考えている。

 P&Pはスタートアップを市場に登場させるための3カ月間の支援プログラムを用意している。クリーンテック分野のプログラムには米エクソンモービルや日本の大阪ガスなどの大企業が参加しており、スタートアップとの協業の機会をうかがっている。

 前回のクリーンテックブームが終息してしまった理由の1つに営業サイクルの長さがある。スタートアップが製品やサービスを生み出しても、それらを購入する大手企業が採用を決めるまでの期間が長いため、売り上げに結びつきにくいという問題があった。だが、初期の段階から大手企業がかかわるようにしておけば、スタートアップは収益をあげやすくなるだろう。

 米国の連邦政府が環境問題に消極的でクリーンテック分野への支援が減る可能性がある。それでもシリコンバレーを含むカリフォルニア州では、クリーンテック分野への投資が盛んに行われ続ける可能性が高い。

[日経産業新聞2017年8月8日付]






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