男女とも世界ランク2位の卓球界が実現を目指すプロリーグ構想 – Yahoo!ニュース 個人

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若い人材の台頭が目立つ卓球界

ファンの方ならよくご存じだろうが、日本は男女ともに世界ランキング2位(17年8月現在)という中国に次ぐ卓球の強豪国だ。個人のランキングを見ても男子は8位に水谷隼、9位に丹羽孝希と世界のトップ10に2選手が入っている。女子は5位に石川佳純選手、6位に平野美宇選手、7 位に伊藤美誠と男子以上で”ミウミマ”は17歳にして世界のトップ10圏内だ。

また男子では張本智和は先日の世界選手権で、史上最年少の13歳(当時)でベスト8入りを果たしている。将棋の藤井聡太四段と共に”日本一知名度の高い男子中学生”だろう。

そんな卓球界で、プロリーグ構想が進んでいる。この15日に都内でTリーグ設立にむけた進捗状況に関する記者発表が行われた。

世界一を目指すTプレミア

代表理事(専務理事)としてTリーグ設立の陣頭に立っているのが松下浩二氏。1993年に日本人の卓球選手として初の「プロ宣言」を行い、97年には世界最高峰リーグだったドイツ・ブンデスリーガに挑戦した人物だ。卓球用具メーカーの社長を務めていたが、今春からTリーグのプロジェクトに専念している。

ドイツの卓球界には1部から16部までのカテゴリーがあるという。Tリーグと日本卓球協会もTプレミアリーグ、T1が全国リーグで、T2は東西ブロック、T3は地方エリア、T4は都道府県単位……といったようなピラミッド構造を構想として掲げている。

一足早くスタートするTプレミアは「選手、試合のレベル及び興行性において世界一を目指すリーグ」と銘打たれている。協会とTリーグの理事を務める星野一朗氏は「2020年の東京オリンピックにもつながるような一番上のところを開発したい」とその狙いを口にする。

初年度は男女各4チームずつのリーグ戦を行い、レギュラーシーズンは年間7回戦総当たりの21試合制が予定されている。21試合の内訳はホーム9試合、アウェイ9試合、セントラルマッチ3試合。セントラルは開幕戦など新リーグの”目玉”の節になる。

Tプレミアの開幕は2018年10月

リーグ戦のスタートは2018年10月で、2019年3月にファイナルを行う予定だ。卓球協会とすり合わせを行い、大きな国際大会などとはバッティングさせない配慮もされている。卓球は個人競技だがTリーグは団体戦形式で争われる。5マッチ方式で世界選手権方式(シングルスのみ)とオリンピック方式(シングルス4戦+ダブルス1戦)の併用が想定されているという。

選手編成については6名以上の登録が必須で「過去2年以内に世界10位以内にランクされた実績があるなど、世界トップクラスの選手が1名以上所属する」ことも条件。また監督を含めて専属のコーチングスタッフを2名確保することが義務付けられる。

これには松下代表理事のセカンドキャリアに関するこんな問題意識がある。「選手は(今まで)自分がやってきたことを後輩たちに伝えられなかった。83年から世界選手権に出場して既に引退した選手が男子は52名いて、その中で卓球に携わってコーチをしている人は17名しかいない。3分の2が現場に入っていない。中国は世界チャンピオンでなければ監督になれず、トップの選手はそのまま後進の指導をするという中でやっている」

張本やミウミマがTプレミアへ参加するには?

選手の登録でポイントになるのが学生の扱いだろう。中学生、高校生で既に世界のトップレベルに躍り出る人材が出ている中で、張本やミウミマのような学生をプロのリーグ戦へ参加させるためには中体連や高体連といった組織との調整が必要になる。

松下代表理事はこう述べる。「それはこれからの話で詰めていく。(Tプレミアは)アマチュアは参加をOKにして、プロとは唄っていない、選手強化のために協力して欲しいと、理解をこれから求めていかなければいけないと思っている」

またチームの運営母体はJリーグ、Bリーグと同様に独立した法人であることが要求される。ただし2017年の日本卓球リーグに所属する企業については、企業の卓球部等の形態のままで参加することも認められる。

ホームマッチの運営については「将来的に全チームが自らホームマッチ運営を行うことを想定する」としつつ、当面はTリーグ側が行うことになる。放映権などの権利もリーグ側が管理し、各クラブへ分配する形態となる。これについて松下専務理事は「初年度は時間もありませんし、難しいというところが見えてきている。年々やっていくと形が整えられて、自分たちのできることが出ていく」と説明する。

サッカーのユースチームに相当する育成機関についても、3年以内の整備が条件づけられる。興味深いのは「6歳以下の卓球スクール」の運営を必須条件にしているところ。卓球は「3歳から100歳までできるスポーツ」(松下代表理事)で、6歳以下のスクールを設置すれば自然と7歳以上の強化組織もできていくという計算があるという。

運営予算は2億円から3億円がメド

リーグ戦参入の公募、受付は9月15日に開始され、早速「木下グループホールディングス」から男女各1チームの申請があった。締め切りは11月30日だが、「興味を持って頂いている方々が20社くらい」(松下代表理事)という現状だ。日本卓球リーグへ参加している企業チームも排除せず、これから参入を呼びかけることとなる。

卓球は1チームあたりの登録人数が少なく、野球やサッカー、バスケットボールに比べて小さな事業規模でも成り立つ。Tプレミアは新規参入チームの募集に当たって、年間の運営予算を2億円から3億円と想定し、そう告知している。

外に出る必要性をなくす国内の環境整備

Tプレミアを発足させる大きな狙いは東京五輪とその後に向けた強化だろう。松下代表理事は中国を例に挙げてこう説明する。「私たちが思い描いているものとして、外に出る必要性をなくしたい。中国は1980年代後半から世界のチャンピオンやトップ選手が海外に流出して、それによって競争力が落ちた。それではいけないということになって、2000年に超級リーグをスタートさせて、外にいる選手が今はほとんど戻ってきた」

日本の卓球選手は男女とも中国、ヨーロッパと海外で練習を重ねている選手が多い。しかし日本の卓球界に遠心力でなく「求心力」が生まれ、国内のレベルが上がれば、選手が外に出ていく必要性が消える。となれば経済的、時間的な負担も小さくなる。

松下代表理事はこう続ける。「今は外に頼っている部分が大きいけれど、4年も5年もずっと(強化を)外に頼っている形は本来良くないんでしょうね。私もドイツや中国でやりましたが、ドイツなんかは勝手に外から集まっている。だからドイツの選手はすごく強化がしやすいんです」

Tリーグが軌道に乗ればスポーツファンと卓球の接点が増え、普及にも好影響を及ぼす。卓球界の事業規模が大きくなれば、世界を経験した人材が強化に戻ってくるようになる。Tプレミアが構想通りに進めば、世界のトップレベルに位置する日本人選手、ヨーロッパ人選手が切磋琢磨し、自然と実力を伸ばせる環境が国内に生まれる――。そんな夢の実現がTプレミアの目指すところになるのだろう。






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