コラム:中国のGDP目標廃止、見かけ以上になぜ困難か – ロイター

Home » 04研究開発・生産・物流 » コラム:中国のGDP目標廃止、見かけ以上になぜ困難か – ロイター
04研究開発・生産・物流, 規模の経済 コメントはまだありません



[ワシントン 14日 ロイター BREAKINGVIEWS] – 中国の固定資産投資が鈍化の兆しを示し、中国経済が減速し始めた。しかし中国政府は動じていない。当局者らは来年の国内総生産(GDP)伸び率目標を緩和する可能性を口にしている。目標そのものの設定廃止に向けた一歩と言えるだろう。

 11月14日、中国の固定資産投資が鈍化の兆しを示し、中国経済が減速し始めた。しかし中国政府は動じていない。写真は中国の国旗。広東省で2014年3月撮影(2017年 ロイター/Alex Lee)

ただ、過剰な投資、安価な融資、統計上の基準は中国政府のDNAに染み付いている。

多くのエコノミストにとって、中国のGDP目標は信用格付けに関する諸悪の根源だ。ムーディーズのような格付け会社は、中国の格下げ決定を正当化する理由としてGDPに言及する。

国際通貨基金(IMF)に関係するエコノミストらによると、通常規模の信用の創出であれば、中国経済は恐らく5─5.5%のペースで成長する。

しかし政府の今年のGDP目標は6.5%だ。これにより、当局者らは目標達成に向けて刺激策を活用しようという気になり、市場には歪みが生じ、性急かつ準備が不十分な投資がバタバタと行われる。

一方、政府の支出によって天然資源、建設、その他重工業セクターは潤う。そのため投資家は、中国のGDP目標を鉄鉱石などの商品(コモディティー)の需要のシグナルだとみなしている。

中国政府も問題を認識している。中国は現在、GDPと1人当たり国民所得を2020年までに10年比で倍にする目標を掲げている。

しかし、中国共産党で経済財政政策を統括する中央財経指導グループの楊偉民・弁公室副主任は10月26日、2021年以降はGDPの倍増を目指さず、長期的に質の高い成長を志向すると表明した。

習近平国家主席も先月の党大会での演説で成長目標については触れず、主席も目標を重視していないことが示唆された。

GDP目標の廃止は、経済界にとっては急伸的な改革を意味しない。数字的にも、大国に低めの成長率を当てはめれば絶対利得は依然として得られる。そして底流にある動機は変わっていない。

地方政府当局者らは引き続き税収を増やして昇進の機会を得るためにばらまきを続けるだろう。こうした動機は時に調整される可能性はあるが、機運は盛り上がりそうにない。

例えば上海は2015年に目標を廃止したが、次の年に再導入している。

中国の官僚らは質よりも量の目標を好む。

これは中国の計画経済の名残であり、一党体制国家に共通する失業と社会不安に対する本能的な感じやすさだろう。

従って投資家は、中国政府が成長目標を廃止しても過剰反応すべきでない。当局者は引き続き刺激策の発動に前向きで、借金癖を直すには後ろ向きに違いない。

●背景となるニュース

*1─10月の中国固定資産投資は前年比7.3%増で、伸び率は1─9月の7.5%から鈍化し、ロイターが調査したアナリスト予想の7.4%もやや下回った。10月の鉱工業生産は前年比6.2%増加。伸び率は9月の6.6%から鈍化し、予想の6.3%もやや下回った。

*10月の中国の新規人民元建て融資は6632億元(998億3000万ドル)と、予想以上に減少し、2016年10月以来1年ぶりの低水準となった。10月の中国社会融資総量は1兆0400億元(1565億4000万ドル)で、9月の1兆8200億元から減少した。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

*このドキュメントにおけるニュース、取引価格、データ及びその他の情報などのコンテンツはあくまでも利用者の個人使用のみのためにロイターのコラムニストによって提供されているものであって、商用目的のために提供されているものではありません。このドキュメントの当コンテンツは、投資活動を勧誘又は誘引するものではなく、また当コンテンツを取引又は売買を行う際の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。当コンテンツは投資助言となる投資、税金、法律等のいかなる助言も提供せず、また、特定の金融の個別銘柄、金融投資あるいは金融商品に関するいかなる勧告もしません。このドキュメントの使用は、資格のある投資専門家の投資助言に取って代わるものではありません。ロイターはコンテンツの信頼性を確保するよう合理的な努力をしていますが、コラムニストによって提供されたいかなる見解又は意見は当該コラムニスト自身の見解や分析であって、ロイターの見解、分析ではありません。




私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」



コメントを残す