星野リゾート、知られざる経営リスク…その儲けの手法 – ニコニコニュース

Home » 07事業再・M&A » 星野リゾート、知られざる経営リスク…その儲けの手法 – ニコニコニュース
07事業再・M&A, 投資銀行 コメントはまだありません



星のや東京(「Wikipedia」より)

 ホテル業界の風雲児、星野リゾート代表・星野佳路氏の快進撃が止まらない。

 2016年7月20日、東京都心の大手町に「星のや東京」を開業した。庭と平屋木造という伝統的な仕様ではなく、地下2階・地上17階の「塔の日本旅館」だ。

 17年11月2日に来日したドナルド・トランプ米大統領の長女、イバンカ大統領補佐官は3日夜、「星のや東京」での安倍晋三首相主催の夕食会に、白い薄手の生地に赤い花が描かれたワンピース姿で登場した。この夕食会は、10月30日に36歳になったイバンカ氏の誕生祝いを兼ねたもの。メニューはイバンカ氏の好みに合わせ、日本の食材を使ったフランス料理だった。

 イバンカ氏は終了後、早速、自身のインスタグラムに夕食会の様子を撮影した複数の写真を投稿した。「星のや東京」にとって、記念すべき一日となった。

 星野リゾートは17年1月20日、インドネシア・バリに「星のやバリ」をオープンした。海外展開ではタヒチに続き2件目。「星のや」ブランド初の海外旅館である。

 さらに7月31日、日本政策投資銀行などと共同で全国の宿泊業を支援するファンドを立ち上げた。三井住友銀行、みずほ銀行、三菱東京UFJ銀行の各行も“お付き合い”で出資するが、星野リゾートと政投銀が過半を出資して主導権を握る。運用規模は総額141億円に上る。

 地方には訪日外国人旅行者の増加による恩恵を受けていない宿泊業者が多い。ファンドは経営不振に陥っている宿泊事業者に、耐震やリフォームの費用を出すだけでなく、新しくホテルを建設するための資金も拠出する。支援先の運営に星野リゾートが参画し、テコ入れを図る。

 星野リゾートと政投銀は15年12月、経営難のホテル・旅館を支援する目的で、20億円規模のファンドを折半出資で設立した。今回のファンドでは運用規模は7倍に拡大した。

 17年10月5日、都市観光ホテルの新ブランド「OMO(おも)」を立ち上げた。星野代表は発表会見で「旅のテンションを上げるホテルをつくる」と語った。

 星野リゾートは純和風の高級日本旅館「星のや」、温泉旅館「界」、リゾートホテル「リゾナーレ」の3つのブランドを手がけており、「OMO」は4つ目のブランドになる。

 18年4月、16年に買収した北海道・旭川グランドホテルを「星野リゾートOMO7旭川」に改称。同年春には東京・大塚に「星野リゾートOMO5大塚」を開業する。ホテルの名に入っている数字は、レストランの有無などのサービスの幅を示す。数字が大きいほどサービスの幅は広くなるようだ。

 星野氏はホテル業界に新風を吹き込む時の人なのである。

●2013年のREIT市場進出が転機

 星野氏は1960年長野県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業後、米コーネル大学ホテル経営大学院で経営学修士号を取得。日本航空開発(現JALホテルズ)を経てシティバンクに転職。JALでホテル経営のノウハウを、シティバンクで債権回収の手法を身につけた。

 1991年、家業である軽井沢・星野温泉の社長に就任。95年、星野リゾートに社名を変更。軽井沢を本拠に「ホテルブレストコート」「星のや 軽井沢」などを経営してきた。

 星野氏が異彩を放つのは、シティバンクで鍛えた債権回収の手法を経営に取り入れたことだ。2001年から「リゾナーレ」(山梨県)、「アルファリゾート・トマム」(北海道)、「磐梯リゾート」(福島県)など、経営破綻した大型リゾート施設の再生に着手した。

 05年以降、米投資銀行ゴールドマン・サックスグループと提携し、「白銀屋」(石川県)、「湯の宿 いずみ荘」(静岡県)など温泉旅館を買い取り、独自のノウハウで再生させ、収益を拡大した。

 13年が事業拡大の転機になった。13年7月、星野リゾートの100%子会社、星野リゾート・アセットマネジメントが運営する星野リゾート・リート投資法人を東京証券取引所REIT市場に上場した。

 星野リゾートが再生した物件をリート投資法人に売却して資金を調達、その資金を活用して運営施設数を増やす。リート投資法人は星野リゾートが経営する「星のや」「界」「リゾナーレ」の不動産に投資した。

 同リート投資法人の17年4月期(16年11月~17年4月、年2回決算)の営業収益(不動産賃貸収入)は前期比12%増の44億円、当期純利益は5%増の19億円、1口当たりの分配金は1万1621円。5月以降も物件を購入しているため保有物件は49件、取得価格は1134億円となった(17年10月11日現在)。

 13年11月、持ち株会社星野リゾートホールディングス(HD)を設立。事業会社、星野リゾートを傘下に収めた。星野リゾートは星のや6軒、界14軒、リゾナーレ3軒のほか、宿泊施設46を運営している。

 星野リゾートHDの16年11月期の営業収益は前期比63%増の511億円、当期純利益は3倍増の71億円。有利子負債は30%増の164億円。再生物件をリートに譲渡することによって、有利子負債は相対的に低く抑えられている。

 星野リゾートは旅館・ホテル運営と不動産投資ファンドの2つの顔を持っているが、現在では不動産投資に軸足を移している。これが今後の経営に影を落とす可能性が高い。

●REITの土地買い漁りがつくりだした“不動産バブル”

 2018年にも不動産バブルは崩壊するといわれている。不動産価格が、ほぼ天井に達したからだ。

 国土交通省が発表した全国の基準地価(7月1日時点)で東京・銀座2丁目の「明治屋銀座ビル」の地価が最も高かった。前年より17.9%上昇し、1平方メートル当たり3890万円で、バブルのピークだった1991年を超えた。

 不動産業界では東京の地価は2020年の東京オリンピックまで下がらないとの見方が支配的だった。ところが、バブル超えが現実となるほど地価は暴騰。今後、地価の下落を危惧する声が強まっている。

 バブル崩壊の予兆に、いち早く反応したのがREIT市場だ。3月最終週以降、市場からの資金流出が続き、7月最終週にやっと止まった。だが、9月に入って再び流出傾向を強めている。東京都心の地価が暴騰したのは、商業施設を建設するという実需より、投資の対象になった面が大きかったからだ。

 不動産関連の金融商品がREITである。賃貸で収益を生み出すオフィスビルやホテル、住宅などに投資し、それを小口化して一般の投資家などに投資信託として販売する。賃貸収入などからREITを購入した投資家に配当金を払う。

 REITが都心のオフィスビルや高級マンションを買いまくったことが地価暴騰の原因となった。だが、上がれば下がるのが世の常。不動産バブルの崩壊を見越して、REITからの資金流出が始まったのが実情だ。

 REITを使って資金調達をしてきた星野リゾートは、不動産バブル崩壊の影響から逃れられないだろう。快進撃を続けてきた星野リゾートは、成長の踊り場にさしかかったのかもしれない。
(文=編集部)






コメントを残す