「適温相場」の行方を「熊と少女」の物語で占う – MONEY PLUS

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ここ最近、国内外の経済系メディアで「ゴルディロックス」という言葉を見聞きします。ゴルディロックス経済とか、ゴルディロックス相場などの表現がよく登場するのです。

例えばここ1ヶ月以内の記事に限っても「ゴルディロックス的なマーケット環境が変わる感じはないが」(ロイター2018年1月3日)とか、「『ゴルディロックス(中略)状態』が続くとみる投資家は54%」(日本経済新聞2017年12月19日)といった表現を見つけることができます。

実はこの言葉、英国で発祥したある「童話」が語源なのだそうです。

果たしてゴルディロックスとは一体どんな意味なのでしょうか。そして各種メディアで囁かれているゴルディロックス相場の行く末は、どうなるのでしょうか。筆者の専門分野は言葉ですので、強引に「言葉の観点」から相場の未来を占ってみましょう。


ゴルディロックス=適温

まずはゴルディロックスの意味について探ります。

実は経済分野でゴルディロックスという言葉が使われるようになったのは、最近ではありません。1992年、米投資銀行ソロモン・ブラザーズ(当時)のデビッド・シャルマンが「The Goldilocks Economy: Keeping the Bears at Bay」(ゴルディロックス経済:熊を寄せ付けない)と題した論文を発表しました。これがゴルディロックスと経済の最初の結びつきでした。

辞書の中には、ゴルディロックス経済(Goldilocks economy)の意味をすでに載せているところもあります。例えば、研究社・新英和中辞典(第7版)のGoldilocks economyの項目には、こんな説明がありました。「景気が過熱も冷え込みもしない、ほどよい成長経済」。この「ほどよい」という部分がゴルディロックスの意味の中核。日本語のメディアではこれを「適温」と表現するところも多いようです。

つまりゴルディロックス経済とは、「適温経済」のこと。またゴルディロックス相場とは「適温相場」を意味します。ここでいう適温とは「過度のインフレがないまま経済成長が続いている状態」を表現しています。

少なくとも米国では、このような経済現象が1990年代の中盤、2000年代の中盤の2度、起こっていました(参考:ウォール・ストリート・ジャーナル2017年4月17日「WSJで学ぶ絵経済英語 第275回 ゴルディロックス」)。

そして2017年後半以降は、日本を含む世界経済全体にゴルディロックスの状態が訪れているとする分析も登場しています(参考:日本経済新聞2017年12月20日「メリル調査、機関投資家の現金比率が上昇 株に『買いシグナル』か」)。

宇宙のゴルディロックス

余談ながら「ほどよさ」を意味するゴルディロックスは、経済以外の分野にもよく登場します。発達心理学、医学、通信、数学などの分野でも、「ほどよさ」を意味するゴルディロックスが登場するのです。

なかでも有名なのが、宇宙・天文分野におけるゴルディロックスではないでしょうか。

宇宙のなかで生命が誕生するのに適した環境のことを、専門用語でハビタブルゾーン(habitable zone:居住可能区域ぐらいの意味)と呼ぶのですが、この用語にはゴルディロックスゾーン(Goldilocks zone)という別名もあるのです。

例えばある惑星系において、恒星(太陽)に近い惑星は表面温度が高くなりすぎます。逆に恒星から遠い惑星は、表面温度が低くなりすぎます。その中間であるほどよい場所、いいかえると適温の場所こそが、生物が存在するのに適したゾーンということになります。






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