東栄リーファーライン MBO失敗の原因を考える – M&A Online

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 1月12日、マグロ運搬船の運行を展開する株式会社東栄リーファーライン<9133>(以下、東栄)が、11月9日より開始した公開買付の応募総数が下限に達しなかったため、公開買付を中止することを発表した。今回の公開買付の買付者は、現在の東栄の役員5名が創設した株式会社オーシャン(以下、オーシャン)であり、所謂MBO(マネジメント・バイアウト)に該当するものである。

 MBOの不成立といえば、2007年の不動産会社のテーオーシー(TOC)<8841>や2008年の女性下着販売のシャルレ<9885>などがある。今回なぜ東栄はMBOを実現することができなかったのだろうか。MBOに失敗した理由とその背景について迫ってみたい。 

MBOが失敗する一般的な理由

 MBOは、買付者が買収対象企業の経営者であるというだけで、その手続や結果についてはTOB(公開買付)と何ら変わらない。つまり、買付者が3分の1超の株式を市場から取得する際に、株式を譲渡してくれる既存株主を応募形式で募り、下限取得株式数を下回ればその公開買付はなかったことになるし、成立すれば買付者は買付対象会社をほぼ完全に支配することが可能になる。

一般的にTOBを実施する際は、開始時の株価に10~20%程度のプレミアムがつく。現状の株価より一定程度高い水準でないと既存株主が応募してくれない可能性が高まるし、会社を支配するということは現在の株式価値よりも高い価値を享受できる、つまりコントロールプレミアムが上乗せされると考えられるからである。

 そのため、TOBMBOが発表された株式は、翌日に株価が急騰することが一般的である。現在より高い株価で買い取ってくれることが保証されているのなら、安いうちに買っておきたいと思う株主が多く存在するからだ。しかし、このMBOのアナウンスによって株価が公募価格よりも高くなってしまったらどうなるだろう?

 市場で売却する方が手続面でも圧倒的に楽な上に、応募したときよりも利益が高くなるのであれば、わざわざ公募に応えてくれる株主はほとんどいなくなる。そのため、MBOが成功するためには、既存株主の多くが現状の会社のままだとこれ以上成長することが難しいと考えていることが必要なのである。

 もし買収対象会社が現状の環境下では成長が難しいと思われていれば、MBOの発表によりほぼ人為的に株価が吊り上ったとしても、すぐに売られて元の株価に戻る。高値になっても持ち続けたいと思う、つまりその会社にまだ期待感があるからこそ、株価が公募価格を上回った状態が続き、募集下限に満たないままMBOが失敗に終わるようになっているのである。

今回のMBO事例

 上記を踏まえたうえで、東栄がMBOを成功させられなかった理由を考えてみたい。まず、11月8日に東栄が発表した「株式会社オーシャンによる株式会社東栄リーファーライン株券(証券コード:9133)に対する公開買付けの開始に関するお知らせ 」によると、MBOの概要は以下の通りである。

買付予定数 5,535,242株
買付予定数の下限 3,689,400株
募集期間 平成29年11月9日~平成30年1月11日まで(40営業日)
募集価格 600円

 また、同日に発表されている「MBOの実施及び応募の推奨に関するお知らせ」によると、このTOBが成立した後は、オーシャンが100%支配株主になるように、株式併合を実施した上で単元未満株式を買い取る旨が書かれている。つまり、MBOの一般的な目的である上場廃止を目論んでいるということだ。

 このアナウンスで、翌日の11月9日の東栄株価は、前日終値518円から596円まで急騰した(前日比+15%)。この時点で既に募集価格に近付いているため、あとは「既存株主が、東栄のMBO自体に賛成するかどうか」がMBOの成否を隔てることは釈然としていた。






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