QC活動とは:QC活動の基礎知識1 – Tech Note(テックノート)

Home » 03マーケティング » QC活動とは:QC活動の基礎知識1 – Tech Note(テックノート)
03マーケティング, CS/ES コメントはまだありません



QC活動の基礎知識

更新日:2018年2月8日(初回投稿)
著者:楽々改善舎 代表 現場改善コーチ 来嶋 一弘

QC(品質管理)は、アメリカで生まれて戦後の日本で大きく育った管理技術で、国内外を問わず多くの企業で活用されています。その品質管理を実践する活動がQC活動です。変化の激しい現代において、QC活動を効果的に運用するには、推進方法を少し工夫する必要があります。本連載では、QC活動を活用して、継続的に製品やサービスなどの品質改善を行うヒントを、生産技術者だった筆者の視点を交えながら解説します。1回目は、QC活動とは何かを説明します。

今すぐ、技術資料をダウンロードする!(ログイン)

1. 品質管理の歴史

品質の定義は、ISO 9000:2015 Quality management systemsでは、本来備わっている特性の集まりが要求事項を満たす程度とされています。品質の悪い商品は売れないということは、誰も疑わないでしょう。品質と品質管理の考え方を図1に示します。

図1:品質と品質管理の考え方

図1:品質と品質管理の考え方(引用:平野浩之、品質保証と自働化、日刊工業新聞社、2001年、P.19)

日本製品は高品質であり、壊れにくい、性能がいいというイメージがあるでしょう。しかし、戦後まもなくの日本製品は、安かろう悪かろうの代名詞でした。転機は1950年、アメリカの統計学者兼コンサルタントであったデミング博士の来日です。一般財団法人日本科学技術連盟(以下、日科技連)がデミング博士を招き、品質向上のための統計的方法による品質管理を学び始めました。その後も日本企業は継続的かつ真剣に品質管理に取り組み、世界有数の品質を確保できるようになったのです。品質管理の進歩に寄与した主な出来事を、表1にまとめました。

表1:日本での品質管理の歴史

出来事
1946年 日科技連創立
1950年 アメリカのデミング博士が来日し、品質管理セミナーを開催
1951年 品質管理の進歩に功績のあった個人・団体を表彰するデミング賞が創設
1954年 アメリカのジュラン博士が来日し、品質管理の実践方法を紹介
1962年 QCサークル活動が始まる
1976年 TQC(Total Quality Control:全社的品質管理)の講座が開設
1991年 ISO 9000シリーズの対応
1996年 TQCをTQM(Total Quality Management:総合的品質管理)に呼称変更

2. QC活動とは?

QC活動とは、Quality Control(QC:品質管理)に関わる活動全般を指します。企業の一連の活動体系を指し、品質保証や信頼性試験なども含まれます。活動の範囲は広く、QC活動を厳密に定義することは困難です。QC活動の推進は、全従業員をQCサークルという小グループ単位に分けて行うことが一般的です。QCサークルの対象は全社員で、派遣社員や委託業者などを含めることもあります。QCサークルを構成して行うQC活動のことを、QCサークル活動といいます。QCサークル活動の報告会をQCサークル大会と呼び、協力会社を含めて実施している会社もあります。

日本製造業の品質向上には、QCサークル活動が大きな役割を果たしました。QCサークル活動は全従業員による全員活動のため、全ての工程で品質の作り込みを行うことが可能です。例えば製造工程の段階で、不良品の発生を防ぐことができます。品質向上の実現には、最終工程でダブル検査などの厳しい検査を行う手段もあります。しかし、製造工程で多くの不良品が発生したままでは、歩留まりが低下して無駄なコストが発生します。QC活動により、上流工程の品質を高めることで、日本企業は国際競争に勝つ力を身に付けたのです。

日科技連のQCサークル活動についても、紹介しましょう。日科技連は、本部で制定したQCサークル活動の推進方法や評価基準を全国の支部に伝達し、レベルがばらつかないように、QCサークル活動を広めています。また、支部・全国規模でQCサークル大会を開催し、QCサークル活動のレベルを競わせ、モチベーションを高めています。さらに、製造業の製造・事務・営業・技術部門だけでなく、サービス業の事務・販売部門や、医療・福祉施設まで範囲を広げ、QCサークル活動を広く普及させています。15~20年前から海外にも展開され始め、今では東南アジア、中国を中心に、欧米でも実施されています。

筆者が従事していた生産技術部門(IE部門)には、残念ながらIEサークルはありませんでした。プロジェクトの報告会はあっても、QCサークル活動のように、他の工場のメンバーと一緒に発表する機会はなかったのです。そのため、生産技術者視点の現場改善活動は、なかなか定着しないと感じ、QCサークル活動をうらやましく思っていました。

3. QC活動の目的とメリット

QC活動の目的は、大きく4つにまとめられます。品質第一の製品生産、顧客満足度(CS)と従業員満足度(ES)の向上、品質維持のための生産工程管理や改善、納期・コストなどの問題解決の改善方法の案出です(図2)。これらを達成することで、製品の不良率低下に加え、より性能の良い製品を作り続け、日本は品質大国に成長できたのです。特筆すべき点は、ESの向上です。ESの向上によって従業員のモチベーションが高まり、品質が向上してCSの向上につながる、素晴らしい活動です。

図2:QC活動の目的

図2:QC活動の目的

4. QCサークル活動の課題

筆者が勤務していた企業の別部門では、活発にQCサークル活動が行われていました。その素晴らしい発表内容と熱意に、とても好感を持ったことを覚えています。一方、経営成果を上げたという報告の裏で、工場で品質問題が発生していることが気がかりでした。QCサークル活動が現場で有効に機能しているのか、ささやかな疑問を持ったのです。

その後退職し、製造業やサービス業の中小企業へのコンサルタントを通じて、さまざまな中小企業の方々に接する機会が増えました。しかし、QCサークル活動という言葉は、ほとんど耳にしません。いくつかの中小企業の経営者に問うと、「やりたいけど、できない」との回答が返ってきました。QCサークル活動を実施するには、人・時間・金など多くのリソースが必要であり、なかなか手が出せないようです。

理由は、活動内容や推進方法を平準化したことで、小規模事業所の参加が困難になっていると私は推測しています。QCサークル活動の運営には多くのルールがあり、それを理解しないと円滑に推進できないのです。例えば、QCサークル活動はQC部門だけが推進できる手法なので、ある程度の規模のQC部門が存在しないと導入できません。誤解されないように付け加えておくと、平準化することで導入しやすい企業が増え、その結果、日本製造業のQCが大きく進歩したことは間違いありません。しかし、顧客ニーズの変化・グローバル化・労働人口の減少など、日本の製造業は大きな変化の時代を迎えています。QCサークル活動は、この大きな変化に適応できるのか、疑問を持ったのです。どうすればQCサークル活動を効果的に導入し、活用できるのでしょうか。次回以降、そのヒントをお伝えしたいと思います。

いかがでしたか? 今回は、QCサークル活動とは何かを説明しました。大きく変化し続ける現代の製造業では、QCサークル活動をはじめとする小集団活動は、さらに成果が期待されています。次回は、QCサークルの推進に不可欠なQC7つ道具と、その限界について解説します。お楽しみに!






コメントを残す