東芝の命運 外部トップに、CEOに車谷氏 :日本経済新聞 – 日本経済新聞

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 東芝は4月1日、元三井住友銀行副頭取で、現在は英投資ファンド、CVCキャピタル・パートナーズの日本法人会長を務める車谷暢昭氏(60)を会長兼最高経営責任者(CEO)に迎える。自浄作用の欠如やガバナンス(企業統治)の甘さが経営危機を招いた東芝。1965年の土光敏夫氏以来となる外部トップに今後の再生を託す。

東芝の次期会長兼最高経営責任者(CEO)に決まり、記者会見する車谷暢昭氏(左)。右は綱川智社長(14日午後、東京都港区)

東芝の次期会長兼最高経営責任者(CEO)に決まり、記者会見する車谷暢昭氏(左)。右は綱川智社長(14日午後、東京都港区)

 東芝は現場への過度な利益積み上げ要求などを背景とした不正会計が発覚。歴代3トップが引責辞任し企業統治の機能不全を指摘されてきた。現在の綱川智社長(62)も原子力発電事業での巨額損失、米ウエスタンデジタル(WD)との対立などへの対応に追われた。

 車谷氏はまず代表執行役会長兼CEOに就任する。6月の株主総会を経て取締役にも就く予定だ。綱川社長はこれまでCEOとして経営・執行に責任を持ってきたが、今後は社長兼最高執行責任者(COO)となる。

 東芝は増資などで2期連続債務超過という最大の危機は乗り越える見込み。だが半導体メモリー事業売却の後、収益を稼ぐシナリオが見当たらない。リストラ費用を差し引くと18年3月期にメモリー事業抜きの営業損益は0円となる見通しだ。

 車谷氏はガバナンスについて「縦のライン(各営業部門)が強く横のライン(統括するコーポレート部門)とのバランスに一定の問題があった」と述べた。グループ会社で不祥事が続いており企業風土改革が急務だ。

 53年ぶりの外部トップとして、なぜ車谷氏が選ばれたのか。土光氏のような技術者ではなく、銀行マン。ただ「銀行出身だからというわけではない」(綱川社長)。半導体事業を予定通り売却、事業を再構築し財務強化を主導することだけが役割ではない。原発事業の存続と、経営の安定が課題だ。

 同じ三井グループ系列の旧三井銀行出身の車谷氏は副頭取を辞めた17年春にも東芝に移籍する噂が出た。それは、東京電力の経営再建に関与した経験があったからだ。

 11年3月11日の東日本大震災発生後に起きた東電福島第1原子力発電所事故。その後、急浮上した東電の資金繰り問題で車谷氏は銀行団のとりまとめに奔走。東電の再建案作りでも経済産業省や金融庁の「裏方」として動いた。官邸や与野党、財界に張り巡らした人脈も豊富。経産省などから、東芝でも複雑なしがらみを解きほぐせると見込まれたようだ。

 車谷氏の銀行員時代、業界には再編の嵐が吹き荒れた。三井銀がさくら銀行になっていた1990年代後半、金融システム不安で経営危機に直面し、旧住友銀行と合併。三井住友銀行時代も竹中平蔵金融担当相(当時)が迫る不良債権処理の圧力に対し、様々な資本増強策で乗り切った。

 三井住友銀を中核とする三井住友フィナンシャルグループの国部毅社長は企画担当時代、長く上司だったが、今回の東芝人事は国部氏が送り込んだものではない。銀行を退職して丸1年。豊富なネットワークを持つ車谷氏が自らでたどり着いたポストといえそうだ。

 ただ、東芝では社外から経営トップを迎えることに対し、社内幹部からは反対の声も根強かったもようだ。剛腕で知られた土光氏もコスト削減など経営再建を進めるうえでは、社内からの反発が強かったとされる。

 綱川社長は車谷氏への支援に「しがらみのない判断をできるよう協力していく」との言葉を使った。車谷氏がその手腕を発揮するには、新CEOとCOOのもとで会社が一丸となる必要がある。






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