高校学習指導要領改訂案 主な改訂のポイント – 教育新聞

Home » 02組織・コーポレートガバナンス » 高校学習指導要領改訂案 主な改訂のポイント – 教育新聞
02組織・コーポレートガバナンス, 学習する組織 コメントはまだありません



「主体的・対話的で深い学び」の実現に向け、分量が増加した
「主体的・対話的で深い学び」の実現に向け、分量が増加した

2月14日に示された高校学習指導要領改訂案では、現行と同じく卒業までに必要な単位数は74以上とし、必修科目の単位数(「総合的な探究の時間」を含む38単位)も維持した一方で、公民科での「公共」の新設と「現代社会」の廃止など、多くの教科で科目再編が行われた。また、小・中の新指導要領と同様に、「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善に関する記述が充実するなど、現行と比べ全体の分量は増加した。
総則および各教科の主な改訂のポイントは次の通り。

【総則】

小・中の学習指導要領と同様に前文が新設され、「社会に開かれた教育課程」の実現に向けた考え方などが示された。

また、通級指導を含む障害のある生徒や日本語の習得に困難のある生徒、不登校の生徒など、特別な配慮を必要とする生徒への対応を明記したほか、通信制課程についても、添削指導やメディア学習による面接指導時間の減免など、具体的な留意事項が示された。

【国語】

共通必履修科目として、「現代の国語」(2単位)「言語文化」(2単位)を新設。「現代の国語」では、実社会の国語を使った諸活動に必要な資質・能力の育成を図る。「言語文化」では、日本の言語文化に理解を深めるための学びを行う。

選択科目では、論理的な文章力や批判的な読みの力の育成を図る「論理国語」(4単位)をはじめ、「文学国語」「国語表現」「古典探究」(いずれも4単位)を設けた。

全科目で国語の的確な理解と表現力に必要な知識・技能が着実に定着できるよう、構造や指導の内容を見直した。語彙などの言葉の特徴や使い方、論理的な思考力の育成を見据えた情報の扱い方、日本の言語文化の学習を位置付けた。

例えば、「現代の国語」では、主張と論拠など情報と情報との関係、「論理国語」では、効果的な段落の構造や論の形式などの指導観点を明示し、学びの改善を促す。

▽話す・聞く▽書く▽読む――の各領域の学習過程と、各過程で育成する資質・能力の明確化も進めた。例えば「話す」「書く」では、文章の構成や展開、表現の工夫などに着目した指導のポイントを示した。

各学校の授業の創意工夫を支援するため、言語活動を種類ごとにまとめた活動例も提示した。

【地理歴史】

新たな共通必履修科目として、現代の諸課題の解決を視野に社会的事象を空間軸と時間軸から考察する「地理総合」「歴史総合」(いずれも2単位)を設定した。

「地理総合」では、持続可能な社会づくりに必要な資質・能力を育む。学習内容は▽地図や地理情報システムで捉える現代世界▽国際理解と国際協力▽持続可能な地域づくりと私たち――で構成される。具体的には、地理情報システム(GIS)を活用し、国内外の結び付きを踏まえた世界の地域構成を学ぶ。グローバルな視座からの自他の文化尊重や、地理的な課題の改善策なども探究する。

「歴史総合」では、近現代の世界と日本を相互に見つめる。現在の国内外の諸課題と深く関わっている近現代の歴史を▽近代化▽国際関係の変化と大衆化▽グローバル化――の各観点の変化に着目しながら学ぶ。

生徒は各単元を見通した問いを立てた上で、学習を進める。現代の課題と関連付けた歴史考察を深めながら、資料の検証などについても理解を深める。生徒の興味関心を継続的に高めるため、中学校の学習内容との連続性を考慮した。

選択科目では「地理探究」「日本史探究」「世界史探究」(いずれも3単位)を設定。各科目では、生徒が「地理総合」と「歴史総合」で身に付けた資質・能力を基に、専門的な視野から日本と世界の地理や歴史に関わる事象を深く掘り下げ、探究する。

【公民】

各科目共に、生徒に「社会的な見方や考え方」を働かせながら、現代の諸課題の把握と解決への考察力を育む点を重視した。

現行の「現代社会」に代わる新たな共通必履修科目として、「公共」(2単位)を設けた。自己と社会の関わりを考えながら、社会参画力や他者との協働力などを高めていくのを目指す。

「公共」は▽公共の扉▽自立した主体として、よりよい社会の形成に参画する私たち▽持続可能な社会づくりの主体となる私たち――の単元で構成。各単元の中では、法や規範の意義と役割、政治参加と公正な世論の形成、地域の創造などについて、論述などの学習を通じて学ぶ。現実社会の事象や課題に関連した主題を設定し、生徒が問いを立てる学習展開が特徴で、それぞれの日常生活を例に取った模擬学習などを経験しながら、国家や社会の形成者として必要な資質・能力を養う。

また、選択科目として「倫理」「政治・経済」(いずれも2単位)を設定。「倫理」では、国内外の先哲の原典資料を読み深めながら、人としての在り方や生き方について思索を深める。「政治・経済」では、現実社会の複雑な諸課題と国内外の政治や経済の関わりとを総合的、一体的に取り上げる。

【数学】

日常生活や社会の事象、数学の事象から問題を見出し、数学的に表現・処理して問題を解決するなどの数学的活動を充実させた。

現行の「数学Ⅲ」「数学B」「数学活用」の一部を移行して、「数学C」を新設した。また、現行の「数学活用」が廃止され、学習内容は「数学A」「数学B」「数学C」の各科目の中に包摂された。

生徒の主体的な学習を促し、数学の良さを認識し学習意欲を高めるため、「数学Ⅰ」「数学Ⅱ」「数学Ⅲ」の各科目に課題学習を設定。「数学Ⅰ」の「データの分析」で仮説検定の考え方を、「数学A」の「場合の数と確率」で期待値を扱い、「数学B」の「統計的な推測」で区間推定及び仮説検定を扱うなど、統計的な内容を充実した。

「数学Ⅰ」(3単位)が共通必履修科目である以外は、「数学Ⅱ」(4単位)「数学Ⅲ」(3単位)「数学A」(2単位)「数学B」(2単位)「数学C」(2単位)はいずれも選択科目となる。

【理科】

理科の見方・考え方を働かせ、観察、実験などを通じて、自然の事物・現象について科学的に探究する学習活動が充実するよう、探究の過程を明確化した。理科を学ぶ意義や有用性、理科への関心を高める観点から、日常生活や社会との関連を重視し、「化学基礎」では「化学が拓く世界」、生物では「生態系と人間社会」を指導項目として新設した。また、生物では重要語句の単語数を規定し、「生物基礎」では200~250語程度「生物」では500~600語程度とした。

科目構成は、「科学と人間生活」「物理基礎」「化学基礎」「生物基礎」「地学基礎」(いずれも2単位)が選択必履修で、「物理」「化学」「生物」「地学」(いずれも4単位)が選択科目となる。なお、現行の「理科課題研究」は、理数科の新設に伴い廃止される。

【保健体育】

生涯にわたる心身の健康の保持増進や、豊かなスポーツライフの継続を重視し、運動や健康についての自他や社会の課題を発見し、解決に向けて思考・判断し、他者に伝える力を養う。「する・みる・支える」に「知る」を加え、スポーツとの多様な関わり方や、オリンピック・パラリンピックに関する指導を通じて、スポーツの意義や価値等に触れられるよう、内容を改善した。

また、「体育」の水泳では、原則として「水中からのスタート」とし、入学年次の次の年次以降は安全を十分に確保した上で、段階的な指導を行えるとした。また、武道でも、学校や地域の実態に応じて種目が選択できるように弾力化した。

「保健」では精神疾患などの予防と回復に関する内容や、心肺蘇生法の技能、健康に関する環境づくりと社会参加を新たに明示した。

現行と同様、「体育」(7~8単位)と「保健」(2単位)共に共通必履修科目となる。

【芸術】

各科目で、表現と鑑賞の学習に共通して必要となる資質・能力として〔共通事項〕を新設した。

音楽では、「A表現」として歌唱、器楽で他者との調和を意識して歌ったり演奏したりする技能を追加した。

美術および工芸では、対象や事象を造形的な視点で捉えることについての理解を「知識」として位置付け、これを〔共通事項〕のア、イとして新設した。

書道では、「A表現」において、漢字仮名交じりの書では「現代に生きる表現」について指導する事項を、漢字の書や仮名の書では「古典の(書体や)書風に即した運筆・用筆」について指導する事項を、それぞれ「思考力、判断力、表現力等」として新たに位置付けた。また、「B表現」でも、作品の価値とその根拠、生活や社会における書の効用などについて考える事項を「思考力、判断力、表現力等」として新たに位置付けた。

現行と同じく、「音楽Ⅰ」「美術Ⅰ」「工芸Ⅰ」「書道Ⅰ」(いずれも2単位)が選択必履修となり、「音楽Ⅱ」「音楽Ⅲ」「美術Ⅱ」「美術Ⅲ」「工芸Ⅱ」「工芸Ⅲ」「書道Ⅱ」「書道Ⅲ」(いずれも2単位)が選択科目で設置される。

【外国語(英語)】

国際基準のCEFRを参考に、小・中・高校で一貫した▽聞く▽読む▽話す(やり取り)▽話す(発表)▽書く――の5つの領域別の目標を設定。各学校段階の学びの接続を目指す。

科目構成を大幅に見直し、統合的な言語活動を通して5領域を総合的に扱う「英語コミュニケーションⅠ・Ⅱ・Ⅲ」と、スピーチやプレゼンテーションなどの言語活動を通じて発信力の強化を目指す「論理・表現Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ」の構成とした。このうち、「英語コミュニケーションⅠ」(3単位)が共通必履修科目、「英語コミュニケーションⅡ」「英語コミュニケーションⅢ」(いずれも4単位)「論理・表現Ⅰ」「論理・表現Ⅱ」「論理・表現Ⅲ」(いずれも2単位)が選択科目となる。

全科目で対話的な言語活動を重視する観点から、「話す(やり取り)」の領域を設定し、文法などの言語材料を言語活動と関連付けながら、実際のコミュニケーションで効果的に活用できる技能を育成する。

文法指導では、用語や用法の区別などの指導が中心にならないよう、実際のコミュニケーションで生かせる効果的な指導を工夫するよう示した。日本語と英語の語彙や表現、論理展開などの相違点・共通点への着目なども盛り込んだ。

【家庭】

小・中の系統性を踏まえ、「家庭基礎」「家庭総合」共に「家族・家庭及び福祉」「衣食住」「消費生活・環境」に関する内容構成とし、「ホームプロジェクトと学校家庭クラブ活動」を加えた4つに整理した。

また、少子高齢化といった社会構造の変化や持続可能な社会の構築、食育の推進などに対応し、生涯を見通した生活設計、乳幼児や高齢者をはじめとした地域社会の人々との関わり、衣食住に関わる生活文化の継承・創造、契約の重要性や消費者保護に関する内容を充実した。

「家庭基礎」「家庭総合」「生活デザイン」のうち1科目を必履修とした現行から、改訂では「家庭基礎」(2単位)、「家庭総合」(4単位)のうち1科目を選択必履修とした。

【情報】

現行の「社会と情報」、「情報の科学」の2科目による選択必履修を改め、共通必履修科目「情報Ⅰ」(2単位)に、さらに選択科目として「情報Ⅱ」(2単位)を設けた。「情報Ⅰ」では、全ての生徒が、プログラミング、ネットワーク、情報セキュリティなどの基礎について学習する。

プログラミングでは、「情報Ⅰ」で、目的に応じたアルゴリズムを考え表現し、プログラミングによりコンピュータや情報通信ネットワークを活用する力を、さらに、「情報Ⅱ」で情報システムを設計し、構成するプログラムを制作するなど、情報システムを協働して開発する力を育成する。

データ活用に関する内容も大幅に充実した。「情報Ⅰ」で、クラウドサービスを活用し、データを収集、整理、分析し、結果を表現する力を、さらに「情報Ⅱ」で、データサイエンスの手法を用いてビッグデータを処理し、その結果を評価する力を育成する。

問題の発見・解決に向けて、情報と情報技術を適切かつ効果的に活用する力を育成するため、問題の発見、設計、制作、実行、評価・改善といった一連の過程に取り組む学習活動を重視した。

【理数】

学術研究を通じた知の創出をもたらす創造性豊かな人材の育成を目指し、そのための基礎的な資質・能力を身に付ける。数学・理科の分野にわたる新たな探究的教科で、それぞれの見方・考え方を組み合わせるなどし、探究の過程を通して、課題を解決するために必要な資質・能力を伸ばす。

「理数探究基礎」(1単位)と「理数探究」(2~5単位)の2つの選択科目で構成され、「理数探究基礎」では検定教科書を使用する。指導は数学または理科の教員が行う。「理数探究基礎」「理数探究」の履修をもって「総合的な探究の時間」の一部または全部に替えられる。理数に関する学科では、原則として「理数探究」を全ての生徒が必履修する。

学習指導では、探究の成果などについて報告書などを作成させ、発表させる機会を設けたり、大学や研究機関、博物館などと積極的に連携・協力を図ったりする。

【総合的な探究の時間】

名称を「総合的な学習の時間」から「総合的な探究の時間」に変更した。単位数は3~6単位とした。

自己の在り方や生き方を考えながら課題を発見する、探究の過程を一層充実する。生徒が教科横断的・総合的な学習を通して、各教科で育成する資質・能力を相互に関連付け、実社会や実生活の中で活用できる力の育成を重視する。
そのため、探究の過程では、他者と協働して課題を解決する学習活動を位置付ける。その際、比較や分類、関連付けなど、思考を深めるための各種技法も活用する。

「総合的な探究の時間」が教科横断的なカリキュラム・マネジメントの軸になるよう、学習目標は各学校の教育目標を踏まえながら設定し、ふさわしい課題の設定、生徒が自ら課題を発見する活動などを重視する。

【特別活動】

▽人間関係形成▽社会参画▽自己実現――の3つの視点を踏まえて、目標と内容を整理した。中学校までの経験を生かし、ホームルームの課題の発見・解決に向け話し合う活動を一層充実させた。また、キャリア教育の要としての役割を明確化した。

各活動・学校行事を通して、自治的能力や主権者として主体的に社会参画する力を重視するとともに、多様な他者との交流や協働、安全・防災などの視点を重視した。

ホームルーム活動では、自発的、自治的な活動を中心としたホームルーム経営の充実や、いじめ防止を含めた生徒指導との関連を明記。生徒会活動では、生徒が主体的に組織をつくり、全ての生徒の参画を明示した。また、校内の活動だけでなくボランティア活動などの社会参画についても盛り込まれた。






コメントを残す