ヤクルト、ダノンの呪縛解けるか 筆頭株主が一部売却 – 日本経済新聞

Home » 02組織・コーポレートガバナンス » ヤクルト、ダノンの呪縛解けるか 筆頭株主が一部売却 – 日本経済新聞
02組織・コーポレートガバナンス, 連結経営 コメントはまだありません



 ヤクルト本社は14日、仏食品大手のダノンが保有する株式の一部を売却すると発表した。両社は提携関係の維持を強調するが、過去に遡れば巨人ダノンがヤクルトをのみ込もうとして対立した歴史がある。ダノンは株売却後も依然として筆頭株主の座にとどまる。敵対の歴史を乗り越えられるか、まだ予断は許さない。

提携契約解消について記者会見する堀会長(左)ら(13年、東京都千代田区)

 「友好的な関係は維持していく」。14日、ヤクルトはダノンのヤクルト株売却に関して、こうコメントした。ダノンは現在、議決権ベースでヤクルト株の約21.52%を保有する筆頭株主。最大で15%分を放出する可能性があるという。

 両社の関係の始まりはダノンがヤクルトの株式の5%を取得した2000年に遡る。ダノンの狙いはヤクルトが持つ「乳酸菌シロタ株」。関係強化を求めたダノンは03年に20%まで株を買い増し、04年には事業提携契約も締結した。

 ただ、関係を強めたいダノンに対し、経営の独立性を維持したいヤクルトは次第に距離を置き始める。ダノンが一定期間株を買い増さない条項を結ぶなど、両社の溝は広がっていった。13年には事業提携契約を解消、インドなどでの合弁事業は続けながらも、両社の関係は変化がないまま時間だけが過ぎていった。

 こうしたなか、ダノンからの呪縛から逃れたいヤクルトに思わぬフォローの風が吹く。

 ダノンは16年に米国の有機食品メーカー、ホワイトウエーブ・フーズを1兆円超で買収した。ただ、巨額買収に伴い負債が拡大。効果があがらない関係の解消を求め、米アクティビスト(物言う株主)ファンドがダノンに圧力をかけたとされる。今回の株売却もこの流れのなかにある。

 ヤクルトは20年以上、経営トップとして君臨した堀澄也会長兼最高経営責任者(CEO)が昨年退任するまで、盾になってダノンから経営の独立を守ってきた。堀氏は1990年代にデリバティブ取引で経営危機に陥った同社を再生。アジア各国に展開、18年3月期には315億円の連結最高益を見込むまで同社を成長させた。

 ただ、売り上げで2兆円を超える巨人ダノンが息を吹き返せば、再びヤクルト買収に出る懸念は残る。昨年末、ダノンがヤクルト株を手放すとの情報が市場に流れた。その際、投資銀行などが国内の食品・飲料メーカーに株買い取りの意向を探ったが、「ヤクルトは乳酸菌を手放す気はなくシナジーが見込めない」として、逆に孤立を深めていった面もある。

 欧米など先進国ではまだヤクルトの知名度は高くない。ダノンに加え、スイスのネスレなど世界を股にかけるガリバーに対し、単独で戦うには限界がある。経営の独立を勝ち得ても、その先の展望を描けるのか。堀氏からのバトンを受けた現経営陣の重い課題となる。(湯前宗太郎)






コメントを残す