中国フィンテック十大企業ランキング 注目はBATJ系と中国平安の開発力 – ZUU online

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2017年、中国の金融科技(FinTech)は“兵家必争之地”であった。クラウドコンピューティング、ビッグデータ、ブロックチェーン、人工智能(AI)などの技術革新時代の到来により、中国の金融業は、化粧を幾重にも重ね分かりにくくなっている。しかし、今の中国は、最もFinTech発展の勢いがある国家の一つであるのは間違いない。

投資分野の金融研究機構「軽金融」は、数百の顧客、専門家、経済メディア記者たちの評価を参考に、「2017年十大金融科技公司」を選定した。ランキングは、総合、ブランド影響力、顧客満足度、技術創新能力、技術開放度、競争力などの多項目にわたり作成している。

ニュースサイト「今日頭条」が内容を詳しく伝えた。中国十大FinTech企業とは、どのような商品開発をしているのだろうか。以下、総合ランキングから順に紹介していく。

第10位 宜信--新金融の司令塔

宜信とは、2006年に設立された、小口金融と財産管理、情報サービス機構である。業務は、信用リスク評価と管理、信用データに関する総合サービス、消費者金融会社に対する投資、小口金融の市場育成、農業への小口金融援助など多方面にわたっている。外国の先進的信用管理を、中国の社会信用状況に結合させ、P2P信用借款プラットフォーム作りや、プラットフォーム管理者の信用管理ノウハウの提供などを行ってきた。

実際に、精英(エリート)貸、助業貸、助学貸、宜農貸、宜車貸、宜房貸、などさまざまな金融商品の実現に力を尽くしてきた。

グル―プに「宜信新金融産業投資基金」があり、20社を超すFinTech企業に投資を行っている。同基金は国内最大の“新金融産業基金”となっている。同基金の投資は、目前のFinTechの課題、方向性を指し示す指標ともなっている。智能投資顧問、智能保険、ブロックチェーン技術などがこれに当たる。

工業与信息化部(工業情報省)、中国銀聯、各大銀行幹部、新金融業の経営者、経済学者たちと、経済論壇を形成し、金融業の刷新について、大きな社会的影響力を持っている。

第9位 網商銀行--阿里巴巴系ネットバンク

浙江網商銀行は、2015年、杭州市で設立された。螞蟻金服(アント・フィナンシャル)30%、上海復星25%、万向三農18%、寧波市金潤資産16%、などの共同出資で設立された。完全民営の、無店舗ネットバンクである。小口金融を主とし、対象は零細中小企業や個人である。阿里巴巴グループの小口金融技術、リスクマネジメントモデル、管理経験、顧客サービス経験などを総動員して商品開発を行う。

上限を細かく設定した独自の小口金融モデルの構築、ネット技術を生かした新しいオンライン銀行業務の展開、を目指している。ネット通販出店業者たちの取り込みを図り、2020年までに1000万の中小企業との取引きを目標としている。業績は順調に推移し、2016年の総資産615億元、営業利益は3億1600万元と、民営銀行トップである。

第8位 銀聯商務--百度と提携

銀聯商務は、2002年上海で設立された。銀聯カード旗下、カード使用環境の促進、市場形成、付帯サービスを行っている。中央銀行(中国人民銀行)の指導の下、企業決済の改善や、資金の安全確保に大きな貢献をしてきた。
POS端末数やATMの保有数は、全国最大である。2011年には「支付業務許可証」を取得していたが、モバイル決済への進出には、遅れを取った。既得権益が邪魔をしたのは想像に難くない。「銀聯手機支付」は支付宝、微信支付、それ以外のその他大勢の一つに過ぎない。

2017年9月 百度(バイドゥ)とクラウドコンピューティングで提携した。各々行ってきた、モバイル決済、AI、ビッグデータの研究を共同で行う。トップ10入りしている理由は、膨大なデータ蓄積と、顧客からの信頼と思われる。顧客満足度ランキングでは5位にランクされている。

第7位 平安科技--平安集団のFinTech開発

平安科技は、2008年深センで設立された。保険大手から総合金融に発展した、中国平安集団旗下の100%子会社である。金融技術を、モバイル、クラウド、ビッグデータ、の三大方向へ発展させ、先進的AI化システムを構築し、平安集団各事業会社の創新に貢献する。FinTech開発の司令塔である。

銀行業務向け提案
(1) 彩光認証貸付(ネット申請、モバイル申請のシステムなど)
(2) 移動銀行(基礎的移動設備、記帳システム、契約書システムなど)

保険業務向け提案
(1) ネット保険(医療現場での診療から給付までの認証システム)
(2) 営業マンの配置適正化システム。

第6位 上海陸家嘴国際金融資産金交易市場(陸金所)--平安集団の金融資産取引

陸金所は、2011年上海で設立された。平安科技と同じく平安集団の子会社である。金融のグローバル化に対応したFinTechの創新と、健全なリスクマネジメントシステム構築を目指す。

同社はオンライン上で、投融資プラットフォーム、金融資産交易プラットフォームを運営し、自力で利益を上げている。企業と合格投資者(富裕層)向けのため、裕福なイメージがある。内外の評価は高く、H2 VenturesとKPMGによる2017年FinTech100強ランキングでは、6位にランクされた。

第5位 微衆銀行--騰訊系ネットバンク

微衆銀行は、2015年深センで設立された。国内初の完全民営銀行(無店舗ネットバンク)である。騰訊系で、騰訊の持ち株は30%。

経営範囲は小口金融で個人または、零細中小企業主である。看板商品の“微粒貸”は中国最大のSNS微信から簡単にアクセスできるが強味。貸出限度額は20万元。アップロード半年で3000万人が利用する大ヒットとなった。

顧客満足度ランキングと技術開放度ランキングでは3位である。業績では微衆銀行に後れをとっているが、それ以外で評価されている。

第4位 百度金融--百度系金融会社

検索エンジンや無人運転を研究する、百度グループ旗下の金融機構である。2001年設立と、ネット金融業界では比較的古株だ。当初は、消費者に対する金融商品情報の提供、比較や推奨を行っていたが、自ら金融業に乗り出した。

百度金融は、親会社の百度との合弁会社「91金融超市」を実質的に担っている。これは低担保金融で、期間1~3年、限度額は50万元。申請者の給与所得の10~15倍を貸出し、年利8~9%である。

2017年6月には中国農業銀行と戦略提携、11月には新たに「百度理財」プラットフォームをアップロードした。自社設計の金融商品で収益8%を謳っている。また技術開放度ランキングでは、2位に評価された。

第3位 財付通(テン・ペイ)--騰訊系モバイル決済を運営

騰訊グループの深セン市財付通科技有限公司の開発した、非金融機関によるオンライン決済プラットフォーム。安全、快速な決済を行う高度に専門的なフォームであり、騰訊グループの微信支付(ウィーチャット・ペイ)、QQ銭包など、モバイル決済の安全に関する基層技術を支えている。

財付通は、国家信息安全測評認証中心による安全認証を受けた、中国初のオンライン決済プラットフォームである。2005年9月のアップロード以来、安全性の確保では研究蓄積を重ね、今も最前線に位置している。

現在は、旗下の保険会社「衆安保険」と組み、銀行カードの安全システムを構築中だ。また虹彩認証システムの研究も進めている。

総合ランキング3位だが、顧客満足度ランキングでは、螞蟻金服、京東金融を抑えて第1位にランクされている。騰訊系はいずれも顧客満足度の高いのが特徴だ。

第2位 螞蟻金服(アント・フィナンシャル)--阿里巴巴系金融会社

螞蟻金服は、阿里巴巴グループの金融司令塔である一方、FinTechの開発にも長けた企業である。支付宝(アリペイ。阿里巴巴のモバイル決済プラットフォーム)をベースに開発した“収銭碼”は、2017年2月にアップロードしてから同年11月までの間に、申請顧客が4000万人を突破した。これは支付宝の顧客同士で、お金の融通ができる便利機能である。頻繁な現金授受の必要な人たちに有用だった。

また中国建設銀行をはじめとする国内300以上の銀行類金融機構、100以上の金融会社、90以上の保険会社と提携関係にあり、金融界再編の震源地ともなっている。

螞蟻金服の持つ企業価値と上場の行方は、2017年の中国IT界、金融界の焦点でもある。直近の企業価値は1000億ドルとされている

総合2位だが、ブランド影響力と競争力ランキングでは1位だった。しかし顧客満足度では6位と、あまりよい結果とはいえない。ここが阿里巴巴系最大の問題だろうか。

第1位 京東金融--京東系金融会社

堂々のトップにランクされたのは、ネット通販2位、京東(JD)旗下の京東金融だった。同社にとって2017年は転換点となった。単年度黒字を達成し、独立経営の第一歩を踏み出したのである。

同社は2017年中に20の銀行、400を超える金融機関と提携関係を結んだ。そして提携の成果である新商品を売りだすスピードは、どこよりも早かった。その結果、金融商品のラインナップもまたどこよりも豊富となった。優れたFinTechに支えられた成果である。

また中国最大の銀行、中国工商銀行と提携し、共同でデジタルバンキング“工銀小白”を開発した。国内銀行業界で初めてのデジタルバンキングプラットフォームである。工銀小白は伝統的銀行業務を刷新するだろう。移動銀行のようなものだ。O2Oのショッピングや小口金融だけでなく、契約書、証明書の作成サービスも行う。オンラインで受付け、実物は京東物流が配送する。

京東金融は、技術創新ランキング1位、技術開放ランキングでも1位となっている。

活発な商品開発の理由

1位、2位は京東(JD)と阿里巴巴、ネット通販大手2社の系金融会社だった。そして阿里巴巴と騰訊は2社ずつランキングしている。BATJ B=バイドゥ(百度)A=阿里巴巴、T=テンセント(騰訊)J=京東(JD)と称されるIT大手4社系で6社を占めている。

従来型金融機関で最も元気なのは、中国平安保険である。そのグループから2社ランクインしているのは偶然ではない。BATJ+中国平安で10社中8社を占める

中国人の金融にかける情熱は半端なものではない。これらの大手だけでなく、ベンチャー企業からも次々とアイデアが湧き出てくる。一方辺鄙な農村でさえも、個人の事業意欲は極めて強く、金融の役割は非常大きい。新規事業意欲に欠ける日本とは異なる。したがって成長余地もまったく違う。

日本ではモバイル決済進展のニュースが、単発の企業から出てくる。中国ではすでにインフラである。中国人と日本人は別の経済を生きているように思える。(高野悠介、中国貿易コンサルタント)






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