春闘 政労使は「人への投資」重視せよ – 愛媛新聞

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社説

春闘 政労使は「人への投資」重視せよ

2018年2月15日(木)(愛媛新聞)

 2018年春闘が本格始動した。約1カ月にわたる労使交渉では、安倍政権が経済界に要請した3%の賃上げや、働き方改革の具体化が焦点となる。

 政府が関与する「官製春闘」は今年で5年目。安倍晋三首相は「経済の好循環をしっかり回すため、3%を」と、数字を明示して経済界に直接要請した。経営側も「賃上げは社会的な要請」と一応は前向きだが、好業績でも賃金に十分振り向けようとしない企業も多い。ベースアップ(ベア)にこだわって計4%の賃上げを求める労働側との隔たりや、中小企業との温度差も大きく、先行きは見えない。

 まずは経営側が自発的に「人への投資」を増やしてもらいたい。連合の集計では、15年春闘で2.2%だった賃上げ率は伸びが鈍化し、17年は2%を割り込んだ。「3%」は1994年以降実現しておらず、遠い目標に映るが、仮に3%でも定期昇給(定昇)込みでは実質アップは1%程度にとどまる。

 全く足りていない証左に、物価の影響を考慮した昨年の実質賃金は0.2%減と、2年ぶりのマイナスに陥った。大企業はもちろん、全従業者の7割を占める中小企業や4割近い非正規労働者に波及しなければ、景気の実感も生産性向上への意欲も生まれるはずがない。時短を進めるなら、浮いた残業代の従業員への還元も欠かせない。

 賃上げが進まぬ一因には、デフレの20年、株主還元や内部留保を優先し、コスト削減の「実績」を買われた人が経営陣に多いこともあろう。そのマインドや企業風土を変えなければ人を失い、経営は早晩行き詰まる。

 政府も、2016年度に406兆円にまで積み上がった企業の内部留保を人件費に還元させようと、18年度税制改正に、設備投資と賃上げに積極的な企業への法人税軽減を盛り込んだ。だが恩恵は法人税を納める黒字企業にしか及ばず、所得税など「個人増税」は増えた。結局は大企業優遇の感は否めない。

 政権の「働き方改革」も、労働環境改善には程遠い。長時間労働の削減が本旨のはずが、一部専門職を労働時間規制から外す制度や裁量労働制の対象拡大など、逆行する「残業代ゼロ」の関連法案を盛り込み「抱き合わせ」で通そうとしている。

 しかも政府は今月、裁量労働制について「契約社員や最低賃金で働く労働者にも適用可能」とする答弁書を閣議決定した。最低賃金で働く人に「裁量」などあるはずもなく、残業代なしで残業させられれば最低賃金を下回る働き方を強いられることになる。政府が「違法労働」を容認するかのような姿勢は到底許されず、撤回を強く求める。

 株価や企業の業績がいくら良くても、労働者への分配が不十分で将来不安が拭えない社会は豊かでも持続可能でもない。政労使ともに、働き手が急速に減っていく日本の「危機」を自覚し、賃金や労働環境の改善に本気で取り組まねばならない。






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